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恋の行方を探してください【完結】
第30章 【三十話】大量のメール
美哉はもう一度、頭を下げると、慌てて由臣を追いかけた。
由臣はすでに事務棟を出ていたが、美哉が出てくるのを待っていてくれた。
「由臣さんっ」
「なんだ」
「どうしてそんなに虚勢を張るんですか」
「張ってないぞ。別に普通だ」
「じゃあ、なんでとっとと行こうとするのですか!」
「……鉄臭さがひどくなっていた」
「え?」
「高木小夜から鉄臭さと腐臭がしてきた」
「え、なにを言ってるのかよく分からないんですけど。高木さん、今日もとってもいい匂いでしたよ?」
「あの香水も、前よりもきつめに振ってあったな」
「言われてみればそうですけど……」
「……まあ、いい。工場の検品課に行こう」
とそこで、美哉はどうしてそんな場所に行く必要があるのか分からなくて、由臣の袖を引っ張った。
「美哉」
「なんですか」
「その袖引っ張るの、無意識でやってるのか?」
「え? 無意識っていうより、由臣さんって呼んでも聞こえてないふりするじゃないですか」
「そんなことないぞ」
「ありますよ。だから引っ張ってるだけですけど」
「……そういうかわいいことされると、襲いたくなるから、止めてくれ」
「じゃあ、呼んだらきちんと返事してください」
「今じゃなければ、袖引っ張ってもいいんだが」
「もうっ! それはもう、いいですから! それで、先ほど言っていたカナヤマという人は、一体、だれなんですか」
由臣はすでに事務棟を出ていたが、美哉が出てくるのを待っていてくれた。
「由臣さんっ」
「なんだ」
「どうしてそんなに虚勢を張るんですか」
「張ってないぞ。別に普通だ」
「じゃあ、なんでとっとと行こうとするのですか!」
「……鉄臭さがひどくなっていた」
「え?」
「高木小夜から鉄臭さと腐臭がしてきた」
「え、なにを言ってるのかよく分からないんですけど。高木さん、今日もとってもいい匂いでしたよ?」
「あの香水も、前よりもきつめに振ってあったな」
「言われてみればそうですけど……」
「……まあ、いい。工場の検品課に行こう」
とそこで、美哉はどうしてそんな場所に行く必要があるのか分からなくて、由臣の袖を引っ張った。
「美哉」
「なんですか」
「その袖引っ張るの、無意識でやってるのか?」
「え? 無意識っていうより、由臣さんって呼んでも聞こえてないふりするじゃないですか」
「そんなことないぞ」
「ありますよ。だから引っ張ってるだけですけど」
「……そういうかわいいことされると、襲いたくなるから、止めてくれ」
「じゃあ、呼んだらきちんと返事してください」
「今じゃなければ、袖引っ張ってもいいんだが」
「もうっ! それはもう、いいですから! それで、先ほど言っていたカナヤマという人は、一体、だれなんですか」