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恋の行方を探してください【完結】
第31章 【三十一話】父と同じセリフ
 美哉の疑問に、由臣は美哉の手首を掴むと、歩き始めた。美哉も引っ張られる形で由臣についていく。由臣の指先はやはり氷のように冷たくなっていた。

「槇にしつこくメールをしていた相手だよ」
「へ?」
「メールアドレスを見て、ここで働いている人物で、苗字がカナヤマということだけは分かった」
「そうだったんですか」
「グループのデータベースにアクセスして調べようとしたんだが、美哉がかわいすぎて、理性がぶっ飛んで、調べ忘れた」
「……最低です。仕事してください」
「しかし、高木小夜に聞いてすぐに回答が戻ってきたのだから良かったじゃないか」
「そうですけど……。あの、小早川食品って従業員、結構いますよね? 別の部署だったら、余計に分からないと思うんですけど」
「お、いいところに気がついたな」

 由臣のその言葉にムッとしてにらめば、デレッとしたしまりのない笑みを返された。

「はー、美哉はほんっと、なにしてもかわいいなぁ」
「由臣さん、目、腐ってませんか」
「心配するな。俺の両眼は裸眼で二・〇ある」
「…………」
「ここから先は推測だが、カナヤマなる人物のメールの頻度から考えると、槇のストーカーになっていた可能性が高い」
「そんなにメールをしていたんですか」
「時間はまちまちだが、ほぼ毎日、槇にメールをしていたようだ」
「うわぁ……」
「ところがだ、不思議なことに、槇が無断欠勤をし始めたのと同時に、カナヤマからのメールも途絶えているんだ」
「え……」
「おかしいと思わないか」

 その意味するところを考えて、美哉はぞっとした。

「もしかして……」
「カナヤマが槇を殺したかもしれないって?」
「由臣さんっ!」
「それとも、二人は手に手を取って、愛の逃避行でもしているのか?」
「その可能性は……」
「カナヤマが既婚者だった場合はありそうだが、それだと、今までの槇の行動と矛盾しているから、可能性はないだろうな」

 となると……。

「槇さんは、その……」
「死んでいる可能性があるってだけで、そうだとは言っていない。そのカナヤマが槇を監禁している可能性もあるよな」
「監禁……」
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