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恋の行方を探してください【完結】
第34章 【三十四話】金曜日の修羅場

美哉は由臣とともに、ディナーの準備をしているトラットリア・まるこぽぉろに来ていた。
本当ならば、勝千代も一緒に来た方が良かったのだろうが、槇の部屋から金山の死体が出てきたため、そちらのせいで動けなくなってしまったのだ。
とはいえ、勝千代がまるこぽぉろに電話を入れていてくれたおかげで、もめることなく話を聞くことができた。
「すみません、お忙しいところを」
今まで由臣と一緒に行動してきて、美哉はひとつ、学んだことがあった。
由臣は小早川として今まで生きてきたからなのか、今ひとつ、礼儀に欠ける。今まで行ったところは小早川系列の会社だったから多少の無礼さは目をつむってもらえただろうけれど、今回はそういうわけにはいかない。それに、できたら美哉は一度、このお店に来たかったのもあり、失礼なことをして、来られなくなるリスクを避けたかったのだ。
だから低姿勢でそう言えば、由臣の機嫌があっという間に悪くなったのが分かった。
ちなみに、オーナーがたまたまいてくれて相手をしてくれているのだけど、男性である。鳥肌が立っていたけれど、それでも美哉は耐えた。
「まあ、忙しいけれど、警視庁の捜査に協力していると言われたら、断れないからね」
予想どおりの高圧的な対応に美哉はムッとしたけれど、話を聞けないのは後々困るのが分かったので、進めることにした。
「で、そっちの男性は?」
と美哉の後ろで不機嫌な表情を浮かべている由臣に対して、オーナーはツッコミを入れて来た。
「……探偵です。私はその助手です」
「ほぉ? 警察は探偵を雇っているのかね?」
「いえ、逆です。探偵事務所に依頼がありまして、……それが……」
と美哉はそこまで口にして、これって守秘義務があるからおいそれと口にしていいことじゃないよね、どこまで話していいんだろう、と悩んでいると、由臣が口を開いた。
「好奇心は身を滅ぼすぞ。先週の金曜日にこの店にこの男性と連れの女性が食事をしたと思うんだが、接客しただれか、いないか」
と勝千代から預かってきた槇の写真を見せると、オーナーは首を傾げた後、バックヤードへ写真を持って行った。
「由臣さんっ」
「馬鹿丁寧に説明しなくても、聞きたいことを聞けばいいんだ」
「でも」
「説明したところで、あの手の人間は態度が変わらん」
「…………」
本当ならば、勝千代も一緒に来た方が良かったのだろうが、槇の部屋から金山の死体が出てきたため、そちらのせいで動けなくなってしまったのだ。
とはいえ、勝千代がまるこぽぉろに電話を入れていてくれたおかげで、もめることなく話を聞くことができた。
「すみません、お忙しいところを」
今まで由臣と一緒に行動してきて、美哉はひとつ、学んだことがあった。
由臣は小早川として今まで生きてきたからなのか、今ひとつ、礼儀に欠ける。今まで行ったところは小早川系列の会社だったから多少の無礼さは目をつむってもらえただろうけれど、今回はそういうわけにはいかない。それに、できたら美哉は一度、このお店に来たかったのもあり、失礼なことをして、来られなくなるリスクを避けたかったのだ。
だから低姿勢でそう言えば、由臣の機嫌があっという間に悪くなったのが分かった。
ちなみに、オーナーがたまたまいてくれて相手をしてくれているのだけど、男性である。鳥肌が立っていたけれど、それでも美哉は耐えた。
「まあ、忙しいけれど、警視庁の捜査に協力していると言われたら、断れないからね」
予想どおりの高圧的な対応に美哉はムッとしたけれど、話を聞けないのは後々困るのが分かったので、進めることにした。
「で、そっちの男性は?」
と美哉の後ろで不機嫌な表情を浮かべている由臣に対して、オーナーはツッコミを入れて来た。
「……探偵です。私はその助手です」
「ほぉ? 警察は探偵を雇っているのかね?」
「いえ、逆です。探偵事務所に依頼がありまして、……それが……」
と美哉はそこまで口にして、これって守秘義務があるからおいそれと口にしていいことじゃないよね、どこまで話していいんだろう、と悩んでいると、由臣が口を開いた。
「好奇心は身を滅ぼすぞ。先週の金曜日にこの店にこの男性と連れの女性が食事をしたと思うんだが、接客しただれか、いないか」
と勝千代から預かってきた槇の写真を見せると、オーナーは首を傾げた後、バックヤードへ写真を持って行った。
「由臣さんっ」
「馬鹿丁寧に説明しなくても、聞きたいことを聞けばいいんだ」
「でも」
「説明したところで、あの手の人間は態度が変わらん」
「…………」

