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恋の行方を探してください【完結】
第4章 【四話】『浮気』現場
美哉の指摘に、伊吹の動きが止まった。マスカラのたっぷり乗ったまつげの奥にある茶色の瞳が、美哉を射貫くように凝視してきて、美哉の鳥肌がマックスになった頃。
「やっだー! どーして分かっちゃったのぉ?」
と手をぶんぶんと振り回しながら聞いてきた。
美哉と伊吹との距離は二メートルくらいだろうか。それでも美哉の鳥肌は、痛いと感じるくらい立っていた。
「え……と、その……。私、男の人が苦手で……その、近寄られると、鳥肌が立つので……」
「あー! それでばれちゃったんだ! というか、こんな完璧な女装を見破れるなんて、すごーい!」
伊吹はそういいながら、美哉に気を遣って後退してくれた。それでも鳥肌は立っていたけれど、痛くて仕方ないレベルからは遠ざかった。
遠くから改めて伊吹を見ても、どこからどう見ても女性にしか見えない。それでも、美哉の鳥肌が立っているのが、彼女が彼である査証だった。
「……ごめんなさい」
「あらぁ、謝ることはないわよ。今まで、由臣を除いて見破られた人なんていなかったから、かなりびっくりしたけど、これで由臣が美哉ちゃんに一目惚れした理由が分かったわ」
「え……」
「真実を見抜く目というのは、とっても貴重なのよ?」
「私のは……そんなたいそうなものでは」
「たいそうなものなのよ! あの女嫌いで有名な由臣が一目惚れしたくらいなのよ? すごすぎるわよ!」
なんだか話がずれているような気がしたし、由臣に一目惚れされても困るし、それに……。
「……………………」
そうだった、伊吹の件ですっかり忘れていたけれど、同意もなく美哉は由臣に初めてを奪われてしまったのだった。
別にご大層なものでもないし、大切にとっていた訳ではない。一生、縁がないものだと思っていた。だからもう済んでしまったので、美哉はどうでもいいと思っていた。
初体験というヤツを迎えてみて思ったのは、思ったより痛くはなかったけれど、それでも痛かった。しかも、まだナニかナカに入っているような違和感と、指を紙で切ったときのようなむず痒さに困った。正直、中途半端な状態で終わってしまったので、美哉の中ではなにかがくすぶっているのは確かだった。
「あの……」
「やっだー! どーして分かっちゃったのぉ?」
と手をぶんぶんと振り回しながら聞いてきた。
美哉と伊吹との距離は二メートルくらいだろうか。それでも美哉の鳥肌は、痛いと感じるくらい立っていた。
「え……と、その……。私、男の人が苦手で……その、近寄られると、鳥肌が立つので……」
「あー! それでばれちゃったんだ! というか、こんな完璧な女装を見破れるなんて、すごーい!」
伊吹はそういいながら、美哉に気を遣って後退してくれた。それでも鳥肌は立っていたけれど、痛くて仕方ないレベルからは遠ざかった。
遠くから改めて伊吹を見ても、どこからどう見ても女性にしか見えない。それでも、美哉の鳥肌が立っているのが、彼女が彼である査証だった。
「……ごめんなさい」
「あらぁ、謝ることはないわよ。今まで、由臣を除いて見破られた人なんていなかったから、かなりびっくりしたけど、これで由臣が美哉ちゃんに一目惚れした理由が分かったわ」
「え……」
「真実を見抜く目というのは、とっても貴重なのよ?」
「私のは……そんなたいそうなものでは」
「たいそうなものなのよ! あの女嫌いで有名な由臣が一目惚れしたくらいなのよ? すごすぎるわよ!」
なんだか話がずれているような気がしたし、由臣に一目惚れされても困るし、それに……。
「……………………」
そうだった、伊吹の件ですっかり忘れていたけれど、同意もなく美哉は由臣に初めてを奪われてしまったのだった。
別にご大層なものでもないし、大切にとっていた訳ではない。一生、縁がないものだと思っていた。だからもう済んでしまったので、美哉はどうでもいいと思っていた。
初体験というヤツを迎えてみて思ったのは、思ったより痛くはなかったけれど、それでも痛かった。しかも、まだナニかナカに入っているような違和感と、指を紙で切ったときのようなむず痒さに困った。正直、中途半端な状態で終わってしまったので、美哉の中ではなにかがくすぶっているのは確かだった。
「あの……」