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恋の行方を探してください【完結】
第37章 【三十七話】異常行動

由臣は美哉の髪を撫でながら口を開いた。
「少し整理しようか」
「あ、そうですね」
「先週の金曜日、高木小夜と槇英太郎は、なかなか予約の取れない有名店の窓際で食事をした。実際の店の外から二人が座っていた席を確認したが、なかなか目立つ場所だった。とそこへ、金山果代が通りかかり、二人を見つけた」
「本来、案内される予定だった席だったら……」
「結果は、変わらなかったような気がしないでもないがな」
「どうしてですか」
「金山は、槇を追いかけてあの店に来ていただろうからだ」
「えっ」
「高木小夜と金山果代は部署の場所は離れているものの、同じ会社だ。金山果代は高木小夜を敵視していたのだから、動向を注視していただろう」
「なるほど……」
小夜は、社内ばかりだけではなく、グループ会社にまで悪い噂を流されていたと言っていた。そうするには、相当な執念が必要な気がして、それだけでもぞっとした。
「二人を探して見つけた金山果代は、まさに高木小夜がプロポーズした場面を店の外から目撃したのだろう」
「それで、指輪……?」
「いや、それは金山果代が用意していたものだ」
「え、なんで?」
とそこで、由臣は少しだけ唸って、口を開いた。
「今、話していることは、ほとんどが憶測だ。間違っている部分もあるという前提だが」
「はい」
「槇は、高木小夜に合鍵は渡してなかった。ここまでは事実だろう」
「それはどうしてですか」
「高木小夜の言い分が正しいなら、部屋の主がいるときにしか部屋に訪れることがなかったから、だ。あとは、槇が勝手に入られると困ることをしていたか、だ」
「…………」
「ところが、金山果代は、槇の部屋の合鍵を持っていた」
「えっ?」
逆ならまだしも、どうしてと思っていると、由臣はため息をついた。
「槇の住んでいるマンションに実際に行って、鍵を見て、金山の話が出てきて、ひとつの仮説が浮かび上がってきたんだ」
「仮説?」
「槇は高木小夜にさえ鍵を預けていなかった。それなのに、たった一度きりの金山果代に、鍵を渡すだろうか、と」
「渡さないですよね」
「あぁ。しかし、槇の住んでいたマンションの管理人の話では、金山果代はひんぱんにマンションに訪れ、槇の部屋にも入っていたようだ」
「え、てことは」
「少し整理しようか」
「あ、そうですね」
「先週の金曜日、高木小夜と槇英太郎は、なかなか予約の取れない有名店の窓際で食事をした。実際の店の外から二人が座っていた席を確認したが、なかなか目立つ場所だった。とそこへ、金山果代が通りかかり、二人を見つけた」
「本来、案内される予定だった席だったら……」
「結果は、変わらなかったような気がしないでもないがな」
「どうしてですか」
「金山は、槇を追いかけてあの店に来ていただろうからだ」
「えっ」
「高木小夜と金山果代は部署の場所は離れているものの、同じ会社だ。金山果代は高木小夜を敵視していたのだから、動向を注視していただろう」
「なるほど……」
小夜は、社内ばかりだけではなく、グループ会社にまで悪い噂を流されていたと言っていた。そうするには、相当な執念が必要な気がして、それだけでもぞっとした。
「二人を探して見つけた金山果代は、まさに高木小夜がプロポーズした場面を店の外から目撃したのだろう」
「それで、指輪……?」
「いや、それは金山果代が用意していたものだ」
「え、なんで?」
とそこで、由臣は少しだけ唸って、口を開いた。
「今、話していることは、ほとんどが憶測だ。間違っている部分もあるという前提だが」
「はい」
「槇は、高木小夜に合鍵は渡してなかった。ここまでは事実だろう」
「それはどうしてですか」
「高木小夜の言い分が正しいなら、部屋の主がいるときにしか部屋に訪れることがなかったから、だ。あとは、槇が勝手に入られると困ることをしていたか、だ」
「…………」
「ところが、金山果代は、槇の部屋の合鍵を持っていた」
「えっ?」
逆ならまだしも、どうしてと思っていると、由臣はため息をついた。
「槇の住んでいるマンションに実際に行って、鍵を見て、金山の話が出てきて、ひとつの仮説が浮かび上がってきたんだ」
「仮説?」
「槇は高木小夜にさえ鍵を預けていなかった。それなのに、たった一度きりの金山果代に、鍵を渡すだろうか、と」
「渡さないですよね」
「あぁ。しかし、槇の住んでいたマンションの管理人の話では、金山果代はひんぱんにマンションに訪れ、槇の部屋にも入っていたようだ」
「え、てことは」

