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恋の行方を探してください【完結】
第38章 【三十八話】独占欲
*
事務所へ帰り着いた由臣と美哉は、五階の由臣の執務室へと向かった。
「……疲れたな」
「そうですね」
美哉はソファに深く座った。背に身体を預け、壁に掛けられた時計を見た。
「え、もうこんな時間ですかっ! 夕飯を作らないと!」
ソファに座ってすぐだったが、美哉は立ち上がった。
「美哉」
「はい」
由臣に名を呼ばれ、素直に返事をして、振り返った。
由臣は椅子に座って、美哉を見ていた。真面目な表情をしていて、美哉はどう反応すればいいのか分からず、そのまま由臣を見つめた。
「俺と御庭番のだれかと結婚しなければならないと言われたら、だれを選ぶ」
「え……」
なんでいきなり、その話になるのか分からず、美哉は何度か瞬きをした。
「俺には、美哉しかいない。しかし、美哉は選択肢がいくつもある」
「…………」
「俺と御庭番のだれかを選ぶとなると、美哉、おまえはきっと、勝千代を選ぶだろう。勝千代も美哉のことを想っている」
途端、美哉は真っ赤になった。
それを見て、由臣は自嘲気味の笑みを浮かべた。
「勝千代は、将来有望だ。おまえは見る目がある」
「……由臣さん」
「美哉が勝千代を選んでも、与頭(くみがしら)であることは変わらないし、小早川のナンバーツーであることも変わらない」
「なんでですかっ」
「それは美哉が、与頭だから、としか言いようがない」
「もし、私が勝千代を選んだら、勝千代はどうなるんですか」
「どうなるもなにも、御庭番であることは変わらない。立場は美哉、おまえの方が遙かに上だ」
「上だとか下だとか分かりませんけど、そうなると由臣さんは?」
「別に俺は俺だ。ここで探偵を続けるだけだ」
「…………」
事務所へ帰り着いた由臣と美哉は、五階の由臣の執務室へと向かった。
「……疲れたな」
「そうですね」
美哉はソファに深く座った。背に身体を預け、壁に掛けられた時計を見た。
「え、もうこんな時間ですかっ! 夕飯を作らないと!」
ソファに座ってすぐだったが、美哉は立ち上がった。
「美哉」
「はい」
由臣に名を呼ばれ、素直に返事をして、振り返った。
由臣は椅子に座って、美哉を見ていた。真面目な表情をしていて、美哉はどう反応すればいいのか分からず、そのまま由臣を見つめた。
「俺と御庭番のだれかと結婚しなければならないと言われたら、だれを選ぶ」
「え……」
なんでいきなり、その話になるのか分からず、美哉は何度か瞬きをした。
「俺には、美哉しかいない。しかし、美哉は選択肢がいくつもある」
「…………」
「俺と御庭番のだれかを選ぶとなると、美哉、おまえはきっと、勝千代を選ぶだろう。勝千代も美哉のことを想っている」
途端、美哉は真っ赤になった。
それを見て、由臣は自嘲気味の笑みを浮かべた。
「勝千代は、将来有望だ。おまえは見る目がある」
「……由臣さん」
「美哉が勝千代を選んでも、与頭(くみがしら)であることは変わらないし、小早川のナンバーツーであることも変わらない」
「なんでですかっ」
「それは美哉が、与頭だから、としか言いようがない」
「もし、私が勝千代を選んだら、勝千代はどうなるんですか」
「どうなるもなにも、御庭番であることは変わらない。立場は美哉、おまえの方が遙かに上だ」
「上だとか下だとか分かりませんけど、そうなると由臣さんは?」
「別に俺は俺だ。ここで探偵を続けるだけだ」
「…………」