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恋の行方を探してください【完結】
第43章 【四十三話】伊吹もお見合い

美哉と由臣は車に戻り、二人同時に大きなため息を吐いた。
「由臣さんが嫌いと言った意味、よく分かりました」
お嬢様として、わがまま放題に育ってきたのだろうなと思ったら、あれは太刀打ちできない。
「あれが好きな人間は、あいつが持ってる金だろ」
「それはそれで、淋しいですね」
「仕方がないだろう、それしかないんだから」
とはいうけれど、それさえもない美哉はどうすればいいのだろう。
しょんぼりと肩を落としているのを見て、由臣は美哉の髪を撫でた。
「美哉はたくさんのものを持っている」
「……なんにもないです、私」
「そんなことはないだろ。御庭番だっている」
「そうですけど」
「それに、あいつらを侮辱されたて美哉が怒ったと知ったら、喜ぶだろうな」
「だって……なんにもない私に忠誠を誓ってくれるような立派な人たちですよ? なのに馬鹿にされて、怒らないわけないじゃないですか!」
「まあ、そうだが……。うん、美哉には負けるな」
「なんですか、それ」
ムッと顔をしかめれば、由臣は美哉の頬を撫でた。
「褒めてるんだよ。さすが俺が惚れただけあるなって」
「なっ!」
美哉は由臣の手を振り払い、そっぽを向いた。
何度振っても由臣は諦めないつもりでいるらしく、しつこくアピールしてくる。美哉は自分にそこまで魅力があると思っていないので、戸惑うばかりだ。
「しかし、なにも言っていないのにUSBを渡してきたっていうことは、この中に槇が消したデータが入っているんだろうな」
「あ……」
渡され方も酷かったけれど、その後のやりとりはもっとすごかったためにすっかり忘れていたけれど、そういえばUSBメモリと思われるものを投げ渡されていたのだった。
「ウイルスが仕込まれてるかもしれないけど、こいつで調べてみるか」
「由臣さんが嫌いと言った意味、よく分かりました」
お嬢様として、わがまま放題に育ってきたのだろうなと思ったら、あれは太刀打ちできない。
「あれが好きな人間は、あいつが持ってる金だろ」
「それはそれで、淋しいですね」
「仕方がないだろう、それしかないんだから」
とはいうけれど、それさえもない美哉はどうすればいいのだろう。
しょんぼりと肩を落としているのを見て、由臣は美哉の髪を撫でた。
「美哉はたくさんのものを持っている」
「……なんにもないです、私」
「そんなことはないだろ。御庭番だっている」
「そうですけど」
「それに、あいつらを侮辱されたて美哉が怒ったと知ったら、喜ぶだろうな」
「だって……なんにもない私に忠誠を誓ってくれるような立派な人たちですよ? なのに馬鹿にされて、怒らないわけないじゃないですか!」
「まあ、そうだが……。うん、美哉には負けるな」
「なんですか、それ」
ムッと顔をしかめれば、由臣は美哉の頬を撫でた。
「褒めてるんだよ。さすが俺が惚れただけあるなって」
「なっ!」
美哉は由臣の手を振り払い、そっぽを向いた。
何度振っても由臣は諦めないつもりでいるらしく、しつこくアピールしてくる。美哉は自分にそこまで魅力があると思っていないので、戸惑うばかりだ。
「しかし、なにも言っていないのにUSBを渡してきたっていうことは、この中に槇が消したデータが入っているんだろうな」
「あ……」
渡され方も酷かったけれど、その後のやりとりはもっとすごかったためにすっかり忘れていたけれど、そういえばUSBメモリと思われるものを投げ渡されていたのだった。
「ウイルスが仕込まれてるかもしれないけど、こいつで調べてみるか」

