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恋の行方を探してください【完結】
第7章 【七話】鳥肌が立つ理由
美哉のこともかわいがってくれたけれど、父は母が一番だった。父は美哉のことをかわいがってくれていたけれど、それは母が美哉を大切にしていたからだ、ということは幼い頃から知っていた。大好きな母のことを父はとても大切にしてくれていることが、とても嬉しかった。そして、美哉にとって、それは普通だと思っていたのだ。
「私の普通は、みんなと違っていたんです」
「どう違っていたんだ」
「小学生の時、仲良くしていた友だちの両親が離婚して、その子、転校することになったんです。そこで初めて、家庭というものは、壊れる可能性があると知ったんです」
仲がよかった友だちと、親の都合で離ればなれになってしまう。その理不尽さに、美哉は目が腫れるほど泣いた。母も慰めてくれたけれど、いつもは母一番の父が、美哉のあまりの悲しみぶりに気まぐれを起こしたのか、それともなにか別の目的があったのか。
「泣きじゃくる私に、父は言いました。『美哉のことを一番に想ってくれて、生涯をかけて愛してくれる男性が現れるまで、待てばいい』と。それは呪いの言葉だったと思います」
「その言葉のせいで、男性が苦手になったと?」
「いえ、その前から男性は苦手でした。友だちの両親の離婚が、決定打となったというか」
「その言葉がきっかけになって、美哉は敏感に男性の下心をキャッチして、それが鳥肌という形に現れている、と」
「……そういうことかと思います」
「私の普通は、みんなと違っていたんです」
「どう違っていたんだ」
「小学生の時、仲良くしていた友だちの両親が離婚して、その子、転校することになったんです。そこで初めて、家庭というものは、壊れる可能性があると知ったんです」
仲がよかった友だちと、親の都合で離ればなれになってしまう。その理不尽さに、美哉は目が腫れるほど泣いた。母も慰めてくれたけれど、いつもは母一番の父が、美哉のあまりの悲しみぶりに気まぐれを起こしたのか、それともなにか別の目的があったのか。
「泣きじゃくる私に、父は言いました。『美哉のことを一番に想ってくれて、生涯をかけて愛してくれる男性が現れるまで、待てばいい』と。それは呪いの言葉だったと思います」
「その言葉のせいで、男性が苦手になったと?」
「いえ、その前から男性は苦手でした。友だちの両親の離婚が、決定打となったというか」
「その言葉がきっかけになって、美哉は敏感に男性の下心をキャッチして、それが鳥肌という形に現れている、と」
「……そういうことかと思います」