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恋の行方を探してください【完結】
第9章 【九話】ナンバーツーってなんの話ですか!
 美哉のその言葉に、由臣はくすりと笑った。
 その笑い声が、美哉の耳をくすぐり、ぞわりとした感覚が背中を駆け上り、肌が粟立った。

「ぁ……っ」
「すげーいい声で啼くな。こんなんで感じるんだ?」
「ゃぁ、ちがっ」
「俺のこと、嫌いでも好きでもどっちでもいいよ」
「……え」
「美哉にとって、俺が特別であれば、どっちでも一緒だ」
「…………」
「俺は美哉が好きだ。知り合ってからの時間なんて、関係ない。愛してると言い切れる」

 由臣の低くて耳に響く声でそんな甘い言葉を囁かれてしまえば、思わず抱きつきたくなってしまったが、ぐっとこらえた。

 ここで、美哉はとあることに気がついてしまった。
 就職してしばらくして、両親を事故で同時に亡くした。
 それから頼る人もなく、一人で頑張ってきたのに──会社は潰れて、寮からいきなり追い出されて……。

「…………」

 今まで強がってきたけれど、本当は淋しかったのだ。
 だれにも頼ることができなくて、それでも一人で必死に頑張ってきたのに……。

「……ぅ」

 気がつかないようにと目をそらしてきた事実に、由臣のせいで気がつかされてしまった。
 目の前に立つ由臣と、御庭番は、美哉のその淋しさを埋めてくれる存在だと、この瞬間、本能的に分かってしまった。

「美哉は頑張ってきたよ、いや、むしろ、一人で頑張りすぎた。俺が早く知っていればって、後悔している」
「…………そんな、こと」

 言われても、すごく困る。
 と続けたかったのだけど、口を開くと涙がこぼれそうだったので、美哉はうつむいた。
 しかし、それは思いっきり失敗だった。
 うつむいたことで、涙がぽたりとこぼれてしまい、そうなるともう止められなくて、次から次へと涙がぽたぽたとこぼれてきた。

「おいで。我慢することない」
「……嫌」
「そういう強がりなところ、好きだな、俺」
「っ!」

 由臣はそう言うと、美哉の肩に優しく手を置いて引き寄せて、ぎゅっと抱きしめてくれた。

「好きなだけ、泣けばいい」
「い……や、です」

 少し困ったようなため息がした後、背中を優しく撫でられた。

「分かった、美哉は泣いてない。落ち着くまでこうしておいてやる」
「そんな優しさ、要らないです」

 それは涙声で、まったく説得力がなかった。
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