この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
恋の行方を探してください【完結】
第10章 【十話】由臣の思惑
 由臣の少し高い体温の腕の中にいたのと、安堵したのもあり、疲れも手伝って、美哉は由臣の腕の中で眠ってしまった。そのことに気がついたのは、小さな寝息が聞こえたからだ。
 美哉を起こさないように慎重に膝裏に腕を入れ、由臣は軽々と身体を抱えて寝室に向かったのだが、そこでふと困ったことに気がついた。いつの間にか美哉は、由臣の服をがっつり掴んでいたのだ。
 先ほどまで読んでいた資料は別に今日中に確認をしなければならないものでもなかったが、一緒のベッドに寝るつもりがなかった手前、どうしたものかと抱えたまま悩んでいると、腕の中の美哉が身じろぎした。

「ん……、やだ、一人に……しないで」

 寝言にしてはやけにはっきりした言葉だったが、起きているようにも思えなかったし、むしろ、起きていたらたたき出されていただろうから、間違いなく寝言だろう。
 無意識のうちであれば素直なのに、と由臣は知らず笑みを浮かべると、そのまま一緒に眠ることにした。

 由臣は、自分でも嫌になるくらい神経質だという自覚があったから、美哉と同じベッドで眠れると思っていなかった。だから美哉の幸せそうな寝顔をずっと見て夜を過ごすのもこれはこれで悪くないと思っていたのだが……。
 気がつけば、由臣はいつの間にか、眠っていた。
 目が覚めたのは、美哉が身じろぎしたからだった。
 目を開ければ、予想どおり、不機嫌な美哉の顔が目の前にあった。

「……なんで一緒に寝ているんですか」
「うん、おはよう」
「……あ、おはようございます。……じゃなくて! なんで私と一緒に寝ているんですかっ!」

 眉をつり上げて怒っている顔を見た由臣は、面白くなって笑いながら、美哉の柔らかな頬を撫でた。

「っ!」

 こういうことをされ慣れていないのか、びくりと身体を揺らしたけれど、手を跳ね退けることはされなかった。

「美哉をベッドに寝かせた後、仕事が少し残っていたから戻ろうと思ったんだが、美哉が離してくれなくて、仕方がなく」
「嘘つき!」

 やはりそういう反応だよなぁ、とそろそろ美哉の行動パターンが読め始めてきた由臣は、笑いながら続けた。

「そうだなぁ、嘘かもしれないな」
「もー! いつまでも抱きしめていないでっ!」
「いやぁ、抱き心地が良すぎて、久しぶりによく眠れた」
「…………」
/277ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ