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恋の行方を探してください【完結】
第10章 【十話】由臣の思惑
 本音を告げれば、美哉はなにかを感じ取ったようで押し黙ったが、すぐに言い返してきた。

「そっ、それならよかった……ですね」

 勢いはなかったけれど、それでもこうして返してくれるのが嬉しくて、由臣はもう一度、美哉の頬を撫でると、名残惜しいと思いながらも、腕を解いて、起き上がった。

「俺は少し隣の部屋で昨日の残りの仕事を片付けてくる」
「あ……はい」
「腹、減ってるだろう?」
「えぇ……まあ、そう、ですね」
「下の階にキッチンがあるのは伊吹から説明を受けているよな?」
「はい。昨日、そこでご飯を食べました」
「それなら、行ってみればいい。今日は吟太あたりが当番だったから、まともなものは出てこないかもしれないが、それでもなにか食べる物はある」
「え」
「ん、なんだ?」

 美哉の驚いた声に、由臣は首を傾げた。

「ここに住んでいるの、由臣さんだけじゃないんですか」
「あぁ、説明していなかったか。ここは若葉小屋という名前の探偵事務所だ」
「え、探偵ってのは本当だったんですか。……というか、なんで御曹司が探偵なんてやってるんですか」
「それは今日、説明しようと思っていたんだが、とりあえず先に飯を食ってこい」
「……そうします」
「それで、四階には伊吹と吟太、それから古坂が住んでいる」
「そうだったんですか」

 昨日、美哉が行った場所といえば、この寝室とシャワー室、隣の執務室、それから四階のキッチンだけだ。

「服は伊吹に調達するように昨日、頼んである」
「あ……」

 昨日、シャワーを浴びた後に渡された服がどこから出てきたのか疑問に思ったけれど、あえて聞かなかった。
 しかし、この服一枚だけで過ごすわけにはいかないということを、今、言われて気がついた。

「もちろん、無償でというわけじゃない。美哉には俺の仕事を手伝ってもらう」

 美哉がお金を持っていないのは、由臣も承知していたし、そのことを気にしているのはよく知っていたので、先回りした。

「仕事……ですか」
「あぁ。今日、これから依頼人が来ることになっている」
「へっ?」
「依頼書と簡単な調査報告書があるから、朝食を摂った後に読んでおいてほしい」
「え……私、捜査なんてしたことないですけど」
「もちろん、最初から一人でしろと言わないし、慣れても一人で捜査はさせる気はない」
「それなら私はなにをすれば……」
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