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恋の行方を探してください【完結】
第16章 【十六話】悪い噂
由臣は、小夜がバッグにスマートフォンを片付けたのを確認してから、口を開いた。
「ところで、高木小夜さん」
「はい」
「槇英太郞さんに連絡を取っていないのに、どうして彼が行方不明になっていると知ったのですか」
「それなんですが……。ジュエリー・コバヤカワの部長から連絡をいただきまして」
「お二人のお付き合いは、だれかが知っていたと?」
先ほどまでの話では、付き合い始めた経緯が経緯だけに、秘密のお付き合いだと思っていたのだが、違ったのだろうか。
「それが……。身体から始まった関係ですから、あまりおおっぴらには言ってませんでしたけど、隠してはないです。とはいえ、わたしも英太郎さんも付き合っているとだれかに話したことはありません」
「それでも、連絡がきた」
「それには、理由があるんです」
そう言って、小夜は唇を噛みしめて、うつむいた。
「英太郎さんは噂されるほど女性の扱いが悪かったですけど、それでも、一定数の女性が彼とのお付き合いを望んでいました」
そんな人物と付き合いたいと思うなんて、美哉には分からなかった。
「英太郎さん、お付き合いしているときはほんと、紳士的なんです。それに、蕩けるような一夜を約束してくれますし……」
「…………」
「あ、すみません」
小夜は赤くなった後、続けた。
「でも、おかしいと思いませんか」
「なにをだ?」
「確かに英太郎さんの女性遍歴はひどいものです。女性をとっかえひっかえですし、一度、抱いた女性は二度目は抱かないと言い切っていました」
「え……でも、高木さんは」
「えぇ、わたしはあの人たちとは違います」
と誇らしげに小夜は言った。
「わたしは何度も英太郎さんに抱かれました。それに、結婚の約束も……」
そう言って、小夜は小さく首を振った。
「そのことを気に入らない人がいて、最近ではわたしの悪い噂をグループ会社の人たちに広められて……。社内でも少し肩身が狭い思いをしています」
「悪い噂とは?」
「わたしが年上ということもあり、英太郎さんを脅して付き合っているという類のものです」
「実際は槇英太郎からだったにもかかわらず?」
「はい。悔しいけれど、訂正すれば余計に噂が広がりそうですし、人の噂も七十五日と言いますから、黙って耐えているところです」
「ところで、高木小夜さん」
「はい」
「槇英太郞さんに連絡を取っていないのに、どうして彼が行方不明になっていると知ったのですか」
「それなんですが……。ジュエリー・コバヤカワの部長から連絡をいただきまして」
「お二人のお付き合いは、だれかが知っていたと?」
先ほどまでの話では、付き合い始めた経緯が経緯だけに、秘密のお付き合いだと思っていたのだが、違ったのだろうか。
「それが……。身体から始まった関係ですから、あまりおおっぴらには言ってませんでしたけど、隠してはないです。とはいえ、わたしも英太郎さんも付き合っているとだれかに話したことはありません」
「それでも、連絡がきた」
「それには、理由があるんです」
そう言って、小夜は唇を噛みしめて、うつむいた。
「英太郎さんは噂されるほど女性の扱いが悪かったですけど、それでも、一定数の女性が彼とのお付き合いを望んでいました」
そんな人物と付き合いたいと思うなんて、美哉には分からなかった。
「英太郎さん、お付き合いしているときはほんと、紳士的なんです。それに、蕩けるような一夜を約束してくれますし……」
「…………」
「あ、すみません」
小夜は赤くなった後、続けた。
「でも、おかしいと思いませんか」
「なにをだ?」
「確かに英太郎さんの女性遍歴はひどいものです。女性をとっかえひっかえですし、一度、抱いた女性は二度目は抱かないと言い切っていました」
「え……でも、高木さんは」
「えぇ、わたしはあの人たちとは違います」
と誇らしげに小夜は言った。
「わたしは何度も英太郎さんに抱かれました。それに、結婚の約束も……」
そう言って、小夜は小さく首を振った。
「そのことを気に入らない人がいて、最近ではわたしの悪い噂をグループ会社の人たちに広められて……。社内でも少し肩身が狭い思いをしています」
「悪い噂とは?」
「わたしが年上ということもあり、英太郎さんを脅して付き合っているという類のものです」
「実際は槇英太郎からだったにもかかわらず?」
「はい。悔しいけれど、訂正すれば余計に噂が広がりそうですし、人の噂も七十五日と言いますから、黙って耐えているところです」