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恋の行方を探してください【完結】
第16章 【十六話】悪い噂
とそこで、ふと疑問に思ったことがあった。
「じゃあ……槇さん、金曜日の夜に出て戻るってのは」
「そう。よほどの例外がない限り、不可能だ。だから戻ると言ってたのは嘘だろう」
それも確かめに行くんだよ、と由臣は口にした。
「どーにもあの女、嫌な臭いがするんだ」
「そうですか? 素敵な香水でも使ってるのか、動く度にふわりといい匂いがしてましたけど?」
「そうか。俺には鉄臭い、すごくいやーな臭いしかしなかったがな」
朝のパンの匂いもそうだったが、由臣の嗅覚は人よりもいいのかもしれない。
それでも、鉄臭いというのはどういうことだろうか。
「それより、美哉」
「なんですか」
「昼飯はまだか」
「……え? あ、もうそんな時間ですか。……って、私が作るのは決定ですか?」
「あぁ。美哉の作った物なら食えるし、また食いたい。だから作ってほしい」
「……そうまで言うなら作りますけど、ありものでいいですか」
「いい。基本、なんでも食える」
なんでも食べられるという言葉が信じられなくて、美哉は由臣を疑いの目で見たが、にやりと笑い返されただけだった。
「ま、俺は美哉の下のお口で食べられてもいいわけだが」
「なっ! なにをっ! セクハラですよ!」
由臣は真っ赤になった美哉の目の前に立つと、腰をかがめて耳元で囁いた。
「俺も蕩けるような一夜をあげようか?」
「由臣さんっ!」
「それとも、吟太がいいか? 勝千代か?」
「っ!」
「今日の夜、忠誠の儀をするからな」
「…………」
「どっちが蕩けさせてくれるんだろうなぁ」
そう言って、由臣は美哉の耳元でくすくすと笑った。
「じゃあ……槇さん、金曜日の夜に出て戻るってのは」
「そう。よほどの例外がない限り、不可能だ。だから戻ると言ってたのは嘘だろう」
それも確かめに行くんだよ、と由臣は口にした。
「どーにもあの女、嫌な臭いがするんだ」
「そうですか? 素敵な香水でも使ってるのか、動く度にふわりといい匂いがしてましたけど?」
「そうか。俺には鉄臭い、すごくいやーな臭いしかしなかったがな」
朝のパンの匂いもそうだったが、由臣の嗅覚は人よりもいいのかもしれない。
それでも、鉄臭いというのはどういうことだろうか。
「それより、美哉」
「なんですか」
「昼飯はまだか」
「……え? あ、もうそんな時間ですか。……って、私が作るのは決定ですか?」
「あぁ。美哉の作った物なら食えるし、また食いたい。だから作ってほしい」
「……そうまで言うなら作りますけど、ありものでいいですか」
「いい。基本、なんでも食える」
なんでも食べられるという言葉が信じられなくて、美哉は由臣を疑いの目で見たが、にやりと笑い返されただけだった。
「ま、俺は美哉の下のお口で食べられてもいいわけだが」
「なっ! なにをっ! セクハラですよ!」
由臣は真っ赤になった美哉の目の前に立つと、腰をかがめて耳元で囁いた。
「俺も蕩けるような一夜をあげようか?」
「由臣さんっ!」
「それとも、吟太がいいか? 勝千代か?」
「っ!」
「今日の夜、忠誠の儀をするからな」
「…………」
「どっちが蕩けさせてくれるんだろうなぁ」
そう言って、由臣は美哉の耳元でくすくすと笑った。