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恋の行方を探してください【完結】
第16章 【十六話】悪い噂
*
由臣と美哉は、小夜を見送った。その後ろ姿は思っていたよりも小さくて、頼りないものに見えた。
「それにしても」
由臣は話をしながら、しかも片手で器用にミルクティをすべて飲んでいたが、小夜は一口も口をつけていないようだった。
「自白剤でも入っていると思われたのか」
「……え」
「いや、なんでもない。それで美哉」
「とっても不自然ですが、なんですか」
「午後から、出掛ける」
「え、どこにですか」
「今の高木小夜の話を聞いて、不自然な点が多いと思わなかったか」
「思いましたけど……」
「それを調査するために必要なものがあるから、それを作りに行く」
「行くってどこにですか」
「小早川の統括事務局」
思いもよらない場所に行くと言われて、美哉は瞬きをした。
「なんでですか」
「だから、ジュエリー・コバヤカワに入るために、パスが必要だろうが」
「必要だと言われても、仕組みがまったく分からないのですけど」
「……あぁ、そうだったな。悪かった。小早川グループの会社にはセキュリティ設定が段階別に存在していて、ジュエリー・コバヤカワは宝飾品を扱っている関係で、結構厳重なんだ」
「それは先ほどの話でなんとなく分かりましたけど……」
「社内に入るには、ゲートが三つ存在していて、限られた人間しか内部に入ることができないんだ」
「え、そんなに厳重なんですか?」
「あぁ、そうなんだ。しかも、社内に入れる人間も、一度出ると、その日はもう入ることができない」
「そこまで厳重とは思いませんでした」
由臣と美哉は、小夜を見送った。その後ろ姿は思っていたよりも小さくて、頼りないものに見えた。
「それにしても」
由臣は話をしながら、しかも片手で器用にミルクティをすべて飲んでいたが、小夜は一口も口をつけていないようだった。
「自白剤でも入っていると思われたのか」
「……え」
「いや、なんでもない。それで美哉」
「とっても不自然ですが、なんですか」
「午後から、出掛ける」
「え、どこにですか」
「今の高木小夜の話を聞いて、不自然な点が多いと思わなかったか」
「思いましたけど……」
「それを調査するために必要なものがあるから、それを作りに行く」
「行くってどこにですか」
「小早川の統括事務局」
思いもよらない場所に行くと言われて、美哉は瞬きをした。
「なんでですか」
「だから、ジュエリー・コバヤカワに入るために、パスが必要だろうが」
「必要だと言われても、仕組みがまったく分からないのですけど」
「……あぁ、そうだったな。悪かった。小早川グループの会社にはセキュリティ設定が段階別に存在していて、ジュエリー・コバヤカワは宝飾品を扱っている関係で、結構厳重なんだ」
「それは先ほどの話でなんとなく分かりましたけど……」
「社内に入るには、ゲートが三つ存在していて、限られた人間しか内部に入ることができないんだ」
「え、そんなに厳重なんですか?」
「あぁ、そうなんだ。しかも、社内に入れる人間も、一度出ると、その日はもう入ることができない」
「そこまで厳重とは思いませんでした」