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恋の行方を探してください【完結】
第19章 【十九話】名前が違います!
真那に案内されたのは、少し小さめではあったけれど、応接室だった。
「ここは防音がしっかりしてるの」
「さすがきのこちゃん、話が早いな」
そう言って、由臣はどかりとソファに腰を下ろすと、美哉の手を引っ張り、強制的に横に座らせた。
「由臣さんっ!」
「なんだ」
「前から言おうと思っていたんですけどっ」
「あぁ、気にしないからいいわよ」
真那は美哉がなにを言おうとしたのか察して、先回りをすると、二人の正面に腰を掛けた。
「それで、与頭(くみがしら)権限の身分証を発行しろってことね?」
「そうだ」
「それであの仰々しい許可証がわたしのところに届いていたのね」
「あぁ、そうだ。よろしく頼むな」
真那は由臣の言葉にうなずきを返し、立ち上がろうとしたので美哉は慌てて口を開いた。
「あの……私……違うんです」
「違うって、なにが?」
「私、由臣さんの助手ですけど、与頭ってのは……」
美哉の様子を見て、真那は大きなため息を吐いた。
「三男が強引にあなたを与頭にしたってのは、察したわ。でもね、美哉さん」
「はい」
「私はこの三男にスカウトされてここに来たんだけど」
「え……」
「三男ったら、新卒のわたしにいきなり小早川の機密事項をべらべらしゃべって、管理はおまえに任せた! だったのよ?」
「…………」
「だからね、三男が超強引なのは知っているし、無理矢理に小早川のナンバーツーである与頭にされたってのも、同情する。でも、この決定は覆らないし、残念ながら、当主からも許可が下りてるの」
美哉は由臣を見ると、うなずきを返された。
「美哉さんのことを思ったら、本当は登録拒否したいんだけど、悲しいことにわたしは雇われの身だから、仕事をしなければならないの。……ごめんなさいね」
真那はそれだけ言うと、美哉に頭を下げた。
「あの、赤羽さんっ」
「真那でいいわ、美哉さん」
「……真那さん、その、私……」
「ここは防音がしっかりしてるの」
「さすがきのこちゃん、話が早いな」
そう言って、由臣はどかりとソファに腰を下ろすと、美哉の手を引っ張り、強制的に横に座らせた。
「由臣さんっ!」
「なんだ」
「前から言おうと思っていたんですけどっ」
「あぁ、気にしないからいいわよ」
真那は美哉がなにを言おうとしたのか察して、先回りをすると、二人の正面に腰を掛けた。
「それで、与頭(くみがしら)権限の身分証を発行しろってことね?」
「そうだ」
「それであの仰々しい許可証がわたしのところに届いていたのね」
「あぁ、そうだ。よろしく頼むな」
真那は由臣の言葉にうなずきを返し、立ち上がろうとしたので美哉は慌てて口を開いた。
「あの……私……違うんです」
「違うって、なにが?」
「私、由臣さんの助手ですけど、与頭ってのは……」
美哉の様子を見て、真那は大きなため息を吐いた。
「三男が強引にあなたを与頭にしたってのは、察したわ。でもね、美哉さん」
「はい」
「私はこの三男にスカウトされてここに来たんだけど」
「え……」
「三男ったら、新卒のわたしにいきなり小早川の機密事項をべらべらしゃべって、管理はおまえに任せた! だったのよ?」
「…………」
「だからね、三男が超強引なのは知っているし、無理矢理に小早川のナンバーツーである与頭にされたってのも、同情する。でも、この決定は覆らないし、残念ながら、当主からも許可が下りてるの」
美哉は由臣を見ると、うなずきを返された。
「美哉さんのことを思ったら、本当は登録拒否したいんだけど、悲しいことにわたしは雇われの身だから、仕事をしなければならないの。……ごめんなさいね」
真那はそれだけ言うと、美哉に頭を下げた。
「あの、赤羽さんっ」
「真那でいいわ、美哉さん」
「……真那さん、その、私……」