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夏が来たら
第3章 静寂を破る者
「おやすみなさい。ご馳走ありがとうございました。美味しかったです」


「こちらこそ、楽しかったよ」


秋生は車から降り、絢子と握手を交わした。


彼のひやりと冷たい手の感触。


「そうだ、絢子さんはいつまでここにいるのかな」


「8月いっぱいはいますよ」


「そっか。僕は一週間だけ。最後のニ日は横田と一緒だけど」


秋生は少し考え込んだ。


「あのさ、明日よければ買い物できるところに案内してくれるかな?」


「ええ、もちろん」


「じゃあ、明日11時に迎えに来るね。買い物がてら、町でランチしよう」


秋生の言葉に、絢子の胸は躍った。


「また明日。おやすみ、絢子さん」


「おやすみなさい、秋生さん」


秋生の車が見えなくなるまで、絢子は見送った。


ジョーも飼い主の足元に座り、秋生の車が森の中へ消えてゆくのを寝ぼけ眼で見ていた。

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