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夏が来たら
第1章 美しく退屈な夏休み
爽やかな山風に吹かれながらベルガモット入りのアールグレイを楽しみ、大好きな文学作品に触れる一日。


そんな絵に描いたように素敵な毎日は、絢子にとって好ましいものだった。



文字通り人里離れているので、ご近所さんにもめったに会うことはない。


コンビニに行くのさえ車で30分かかる。


木の葉のそよぐ音や小鳥の鳴き声だけしか聞こえない、静かで平穏な日々。


絢子はここで過ごす時間を愛していたのだが、ふと本から顔をあげた瞬間、自分がたった一人であることを少し寂しく思うことがあった。


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