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恋は盲目
第2章 特別な夏休み

慶太が私の目の前までやってくる。

私は明らかに困った顔をしていたと思う。

総司君に慶太を会わせたくなかったな。

そう思ってももう遅い。

ハラハラしながら慶太を見つめる。


「ずっりー!何アイスとか食べてんだよ!」


慶太のテンションは高かった。

少しほっとしたけど、すぐに私の不安は的中することになる。


「俺にもちょうだい!」


慶太はどかっと私の横に座り私の手ごとソフトクリームを掴んで食べる。


「なっ、ちょ、慶太!」


慌てる私をよそに


「ども!奥本慶太っていいます!あんりとは小学校からの付き合いで、ずっと片想いしてます!」


と余計な自己紹介を始めた。


「どうも。森山総司です。あんりとは同じ塾に通ってます。」


総司君も笑顔で自己紹介をする。

お互い顔は笑っているのに空気はピリピリしている。

「西高のバスケ部のエースだろ。友達が負けたって泣いてたよ。」

慶太がニッと笑うと

「奥田君もサッカー部のエースでしょ。東高には勝てないってサッカー部のやつが言ってたよ。」

と総司君もニッとした。

何だろう・・・よくわからないけど、総司君てバスケ部のエースなの?

かっこいい・・・

とかつい呑気なことを考えてしまう。

それにしてもお互いがお互いを知ってたなんて意外・・・


ソフトクリームが暑さで手に垂れてくる。


「わ、やべっ」


慶太が私の手ごと舐める。


「きゃ」


総司君の目つきが鋭くなった。

私は暑さとは違う汗が出るのを感じた。


————嫌われたらどうしよう。


私は立ち上がって慶太の手を振り払う。


「総司君が買ってくれたアイスなの!慶太はもう食べちゃだめ!」


アイスを持ち替えて急いで食べる。

慶太から距離をとるのも忘れずに。


ブーブーブー


携帯のバイブ音。全員が携帯を確認する。

「あ、俺。」

慶太が画面を見て携帯を耳に持っていく。


「もしもし。おう、・・・え!・・・・うん。」


相槌をうちながらベンチから離れていく。
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