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恋は盲目
第2章 特別な夏休み
ガタンーーーゴトンーーーー
私は今電車に乗って家に帰るところ。
夏休みに通う予備校の手続きに行ったのだ。
高校三年、受験生だなー。
コンクールの結果は金賞。でも県大会に行けないやつ。
いわゆるダメ金と呼ばれるやつ。
ただ例年銀賞が当たり前の吹奏楽部なので快挙に感じる。
金賞!と言われた時は部員一同抱き合って喜んだ。
昨日のことなのでまだその興奮の余韻が残っている。
昨日の出来事を頭の中で再現する。
円陣、舞台袖、演奏・・・・総司君を見つけて・・・一緒にご飯を食べて、
話して・・・アイス食べて・・・・・・・
ゆび・・・・・・・・
まだ思い出すとぞわぞわする。妖しいぞわぞわ。
うまく表現できないけど、あれが「感じる」ってことなのかな。
目をつむって、総司君の舌の感触を思い出す。
ちょっと温かくて、唾液でぬるっとするのがすごくいやらしくって。
その中に総司君の舌のざらつきを感じると気持ちよくて・・・・
思い出してまた興奮してきた。
ブーブーブー
携帯の音でハッとする。
「総司君」からだ・・・
私の念が飛んだんだろうか。
昨日はあの後、結果報告と改めて来てくれたお礼をメールで伝えた。
その返事かな?
と思いながらメールを確認する。
『昨日はお疲れ様。金賞ってすごいね! 今日これから会える?』
どんな脈絡かはわからないけど、総司君と会える!と思うと嬉しい。
私は急いで返信した。
『うん!今出かけてて、18時半くらいでも大丈夫?』
一刻も早く帰りたい。急に気持ちが急いてきた。
『いいよ。じゃあ18時半に。家の近くまで行くね。』
私と総司君の家は遠くて、自転車で片道40分かかる。
電車もお互いの町をつなぐ線がないのでどうしようもない。
田舎って不便。
あぁ!でもこれから総司君に会える!
私はふわふわ良い心地だった。