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恋は盲目
第2章 特別な夏休み
『着いた』
メッセージを見て家を飛び出す。
総司君が自転車にまたがって携帯を眺めている。
急いで駆け寄る。
「わっ!」
後ろから声をかけた。
「よっ」
にこっと総司君が笑う。それだけでもう幸せを感じる。
「河川敷でも散歩する?」
田舎なので会うと言っても街の子のようにファーストフード店とか、
おしゃれなカフェとかに行けるわけではない。
コンビニだと同級生に会っちゃうし。
「わかった。自転車置いてくる。」
総司君は近くの駐輪場に自転車を停める。
空を見上げるとピンクの雲がふわふわ漂っている。
そんな夕暮れ時を総司君と散歩する。
河川敷の遊歩道をゆっくり2人で歩きながら、昨日と同じように他愛ない話をする。
2周したあたりでベンチに座る。
まだ、会いに来てくれた理由は聞いていない。
夕日が沈んでだんだんあたりが暗くなってきた。
あんまり遅くまではいれないから話があるなら早く聞いた方がいいな・・・。
「今日、何かあったの?」
話を切り出した。
「ん、んーーー。・・・・・」
総司君が黙ってしまった。
「・・・・あ、悩み事?」
実際そうなのかも、と本気で心配して総司君の顔を見る。
「・・・・・・いや・・・・・」
「・・・・・・・・好きな子できた、とか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何も言わないって、それは・・・・・
そっか・・・・・
できたんだ・・・・・
やっぱり最近の事は全部何でもない事だったんだ。
私に気をもたせたからわざわざ言いに来てくれてたのかな。
「本当は昨日言うつもりだったんだけど・・」
「そっか・・・・・」
「奥本君がいるとは思わなくて、」
「言い出しづらかった?」
自嘲気味に笑う。
「・・・・そっか。・・・・・うん、まぁ・・・・総司君が幸せなら」
『女友達の中でならあんりが1番!』と前に総司君に言われたことがある。
その時は複雑な気分だったけど、彼女になれないならそれでもいいかな・・・。
1番なんだから悪くないかもしれない。
私は俯いて自己説得タイムに入る。
「あんりの話なんだけど。」
ん?
「・・・私?」
総司君の顔を再び見る。
「俺の彼女になってくれる?」