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天使さまっ!
第3章 天使さまの実情
少なからずショックを受けていると、近くの病室からヨボヨボのおじいちゃんが出てきて私たちに気付いたの。
「おはようございます、佐伯さん。体の調子はどうですか?」
エリン先生はすかさずおじいちゃんに声をかけて、私はびっくり。患者さんの名前とか詳しいんだなぁって。
「おぉ……天使先生、体はあれよ、アンタさん見たらそれだけでもう調子良くなるから」
おじいちゃんは掠れた高い声で笑いながら、エリン先生を拝むように手をあわせたの。天使先生?まぁ確かにエリン先生は天使みたいに可愛い先生よね。
「わぁい。そう言ってもらえると僕も元気になります。ありがとうございます」
そう、このニッコニコな笑顔。先入観なく見れば癒しだわ。……でも、今の私にはもうわからない。甘やかされて育った医者の家のお坊っちゃま、そんなふうにさえ見えてしまったり。