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天使さまっ!
第19章 センチメンタルジャーニー


それから何日かして、私がエリン先生の診察室を一人で掃除していると、コツコツと松葉づえの音がしてエリン先生が立っていました。


「わぁ。診察室久しぶり」

「お散歩ですか?」


私が言うとちょっとふてくされたエリン先生が診察室に入ってきます。


「一人にするとか冷たいです」
「す、すぐに戻りますよ……」

「それに、思い出したんですけどなんでしかこさんエロかわナース服の下にカボチャパンツはいてたんですか。あんなのなかったはずですけど!」

「えええ?そこですか?……だって前にお尻丸見えって言われたから……」


カボチャパンツを装備したことにご立腹とか。なんなんでしょう。

なにはともあれ、エリン先生は日々記憶も怪我の具合も良くなっていて、すっかり事故の前にまで戻ったかのようです。

一時はもう絶望しちゃってた自分が恥ずかしいです。


「ねえ。キスしてくれたらもっと思い出すかも」


今では殺し文句もサラッと言うまでに快復してます。


「先生、ほんとはもう全部思い出したんじゃないですか?」

「そんなことないです。きっともっとすごい記憶が隠されてます」


迷い込む非日常の恐怖はこうしてようやく終わりを告げました。私も少しだけエリン先生に近付けたのでしょうか。


「いつかエリン先生と一緒に世界旅行行きたいです。先生が見てきた世界も見たいです」

「あ、僕も行ってみたいです。リカルドの一族、今も続いてるでしょうか」


エリン先生が窓から見上げる空の向こうに繋がる、まだ見ぬ何かに想いを馳せて。

私たちは今日も並んで笑ってました。



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