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天使さまっ!
第19章 センチメンタルジャーニー
「オー。カワイソウに。こんなにオンナのコなかせて、イケナイよエリン」
病室に入ってきた男の人が、変わったイントネーションでそう言って私の横に立つ。初めて見るその人は背の高い外国の人で、薄汚れただらしない服装とは裏腹に、ふんわりと優しい笑みを浮かべた。
エリン先生の……知り合い?
「ハジメマシテだね、シカコ。エリンのカワイイヒト」
「…………エリン先生の、おとうさま?」
瞬きした私の目元から、大きな指で涙をすくった。
「あら大変。早く起きないと大事な百瀬さんをこんな中年に横取りされるわね」
後ろにいた婦長がいつもと変わらぬ声で平然と言った。
むしろ僅かに笑って見えたのは気のせいだろうか。
「シンパイいらないよ。エリンはちょっとネボウしてるんだ。たまにはゆっくりイイだろ」
その言葉は、強張っていた緊張を解いた。