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鞭を求める女
第1章 鞭打たれたい
 そうこうするうち、学校内ですれ違った。
 あの女と。
 サドマゾ4人ユニットの一人。
 穴二つで吊され、浣腸液でもう一人とつながれていたマゾ女。
 研究室に課題を持って行ったとき、卒論生の溜まりに一人座っていた。
 思わず、見入ってしまった。
 下半身二つの穴で吊され、鞭打たれて泣き叫び、そのままクリトリスをいじられて立ったままイキ、お漏らしした女。
 もう一人と浣腸液でつながれ、薄汚れた薬液をやりとりし、鞭打たれ、鞭を求めて泣き叫び、汚液を噴出し、汚物をヒリ出したあの女。
 間違いない。
 目が合った。
 目をそらせない。
 蛇に睨まれた蛙だ。
 可愛い、というより、美しい。
 部屋を出る。
 そそくさと。
「ちょっと」と声をかけられる。
「私の顔に、何か付いてる?」
「いえ、そんな……」
 歩み寄ってくる。
 ビデオで見た感じよりも小柄で、スレンダーな体つきだ。
 Tシャツにジーパンが似合っている。
 とてもあんなビデオに出るようには見えない。
「観たのね」
 小声で。
「いえ、あの……」
「そういう趣味があるのね」
「そ、そんな!」
「やっぱり観てるんじゃない」
 あそこがジュンとなる。
「人に言ったら、さんざんイビリ抜いて殺すわよ。ここに……」
 名刺を渡された。
「必ず連絡して。でないと、探し出して監禁して、二度と人前に出られないようなことをしてやるから」
 私は恐ろしさに棒立ちになった。 
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