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狂い咲く花
第12章 二、紫陽花 - 辛抱強い愛情
残ったのは2人。
そこに夫婦らしい会話はない。
麻耶は、いつまでたっても恋人でありたいと葉月に甘える。
しかし、葉月は蘭子が一番で、育児をしない麻耶にイライラしていた。
それに、育児のほとんどを美弥に押し付けてるのが心苦しかった。

「麻耶…もう少し蘭子の面倒をみてほしい…姉さんに迷惑をかけないで」

優しく言い含めても、麻耶が気に留めることはなかった。

「麻耶はね…葉月がいればそれでいいの。」

麻耶は、葉月の手に蘭子がいるのにおかまいなしで真正面から葉月に抱き付いていく。
そして顔を上げて瞳を閉じて口づけをせがむ麻耶に、目を細めて顔を背けた。

「麻耶…そんなに近づいたら蘭子がつぶれてしまうよ」

蘭子を盾に口づけを拒む。

「もう、蘭子のお邪魔虫」

プンプンと怒りながら部屋を出ていく。
母親になっても変わらない性格に、もう溜息さえでなかった。
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