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狂い咲く花
第12章 二、紫陽花 - 辛抱強い愛情
食事の準備ができ、全員が集まる。
葉月が蘭子を抱いて、食べにくそうにしていても麻耶は気にすることもなく食事を勧めていく。
「葉月ちゃん…蘭子は私が抱いているから先に食べて」
仕事から帰ってからずっと抱いたままの蘭子を母様が変わり食事を勧めた。
麻耶は今日も蘭子の事などお構いなしで一人先に食事を始めていた。
毎日のことで誰も何も言わない。
最初のころは母親の自覚をもたせるために、誰も手を出そうとはしなかったが、泣いても抱いてあやすことをしない麻耶に負けて、誰かが手を貸すようになった。
手を貸さなければ、一番被害にあうのは蘭子だと誰もが思った。
それから、次第に麻耶は育児をしなくなり、授乳以外は誰かが面倒をみるようになっていた。
「蘭子に着物をつくってあげたいんだけど、どんな生地がいいと思う?」
手先が器用な美弥が提案する。
父様は嬉しそうに賛成してくれた。
「それは蘭子は喜ぶだろうな」
「姉さん…いいですよ。そんな」
葉月が申し訳なさそうに聞くが美弥は平気と言って笑う。
可愛い姪のために何でもしてあげたいといつも思っていた。
「だったら、生地は豊田家から持って来ましょうか。蘭子の為だと言えば、喜んでくれますよ…父さんたちさえよければ…」
葉月が、父様に遠慮しながら聞く。
縁が切れている豊田家との橋渡しをしようとする葉月の心が伝わる。
葉月が蘭子を抱いて、食べにくそうにしていても麻耶は気にすることもなく食事を勧めていく。
「葉月ちゃん…蘭子は私が抱いているから先に食べて」
仕事から帰ってからずっと抱いたままの蘭子を母様が変わり食事を勧めた。
麻耶は今日も蘭子の事などお構いなしで一人先に食事を始めていた。
毎日のことで誰も何も言わない。
最初のころは母親の自覚をもたせるために、誰も手を出そうとはしなかったが、泣いても抱いてあやすことをしない麻耶に負けて、誰かが手を貸すようになった。
手を貸さなければ、一番被害にあうのは蘭子だと誰もが思った。
それから、次第に麻耶は育児をしなくなり、授乳以外は誰かが面倒をみるようになっていた。
「蘭子に着物をつくってあげたいんだけど、どんな生地がいいと思う?」
手先が器用な美弥が提案する。
父様は嬉しそうに賛成してくれた。
「それは蘭子は喜ぶだろうな」
「姉さん…いいですよ。そんな」
葉月が申し訳なさそうに聞くが美弥は平気と言って笑う。
可愛い姪のために何でもしてあげたいといつも思っていた。
「だったら、生地は豊田家から持って来ましょうか。蘭子の為だと言えば、喜んでくれますよ…父さんたちさえよければ…」
葉月が、父様に遠慮しながら聞く。
縁が切れている豊田家との橋渡しをしようとする葉月の心が伝わる。