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狂い咲く花
第18章 二、朝霧草 - 蘇る想い出
「何?しゃべるようになったのか?」
美弥の話に父様が乗ってきてホッとした。
「まだトトとカカだけなんですけど…」
「そうかそうか…これからどんどん言葉覚えるかならぁ~…楽しみだな。ほれっ。お祝いだ。じゃんじゃん飲め」
次から次へとお酒を注いでいき、葉月が酔いつぶれるのに時間はかからない。
こうなると泊まっていくのは必然で、麻耶と蘭子は先に寝ているので、客間に布団を敷いて寝かせることにした。
父様も寝てしまい、後片付けに追われている母様に代わって美弥が部屋までつれていくことになった。
千鳥足で壁伝いに歩いている葉月を触れない距離で見守った。
襖を開けて中に促すと、そのまま布団の上に倒れ込んだ。
火鉢で温められたとはいえ12月はそれなに寒い。
近寄って布団を被せようとすると、その手を葉月に捕まれる。
驚いて葉月を見て見れば、先ほどまで酔いつぶれていたのが嘘のように美弥を力強く見つめていた。
「結婚するのか?」
力強い瞳とは違い力なく言葉が発せられる。
その言葉に何と言っていいのか分からない美弥は答えられずにいた。
「お見合いしたんだろう?」
美弥は悲しそうな目で葉月を見返すだけしかできなかった。
手を握りしめている逆の手で美弥の頬を撫でて目を瞑る。
美弥の温もりを感じているかにも見えた。
目を開いた葉月は、せつなそうな表情を浮かべて告げる。
「美弥…幸せになって…俺がしてあげれなかった分…幸せになって…」
その言葉を残して、葉月は夢の中に落ちて行った。
美弥の話に父様が乗ってきてホッとした。
「まだトトとカカだけなんですけど…」
「そうかそうか…これからどんどん言葉覚えるかならぁ~…楽しみだな。ほれっ。お祝いだ。じゃんじゃん飲め」
次から次へとお酒を注いでいき、葉月が酔いつぶれるのに時間はかからない。
こうなると泊まっていくのは必然で、麻耶と蘭子は先に寝ているので、客間に布団を敷いて寝かせることにした。
父様も寝てしまい、後片付けに追われている母様に代わって美弥が部屋までつれていくことになった。
千鳥足で壁伝いに歩いている葉月を触れない距離で見守った。
襖を開けて中に促すと、そのまま布団の上に倒れ込んだ。
火鉢で温められたとはいえ12月はそれなに寒い。
近寄って布団を被せようとすると、その手を葉月に捕まれる。
驚いて葉月を見て見れば、先ほどまで酔いつぶれていたのが嘘のように美弥を力強く見つめていた。
「結婚するのか?」
力強い瞳とは違い力なく言葉が発せられる。
その言葉に何と言っていいのか分からない美弥は答えられずにいた。
「お見合いしたんだろう?」
美弥は悲しそうな目で葉月を見返すだけしかできなかった。
手を握りしめている逆の手で美弥の頬を撫でて目を瞑る。
美弥の温もりを感じているかにも見えた。
目を開いた葉月は、せつなそうな表情を浮かべて告げる。
「美弥…幸せになって…俺がしてあげれなかった分…幸せになって…」
その言葉を残して、葉月は夢の中に落ちて行った。