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狂い咲く花
第18章 二、朝霧草 - 蘇る想い出
眠った葉月の顔を見ながら今の言葉の意味を考える。
先ほど触れられた頬をそっと包み込めば、まだ葉月の温もりが残っていた。
自分で葉月と幸せになることを断ち切った美弥だったが、改めて口で言われ、もう、彼の手で幸せになることはないのだと改めて実感する。
一度は麻耶の為に諦めた気持ちが、たった一度の葉月の温もりだけで蘇ってきそうになる。
あの時の好きで好きでたまらなかった思いが美弥の心を覆いつくすかのように一瞬にして広がる。
まだ好きなんだと自覚しても、もうどうすることもできない。
今更の話だと分かっていても、ただ涙を流して泣く事しか今の美弥にはできなかった。
「葉月…」
あれ以来、触れていなかった葉月に触れてみる。
頬を撫でれば、眠っている葉月の体がピクリと少し動くのが分かる。
唇を指でなぞって、最後に口づけをしてらもった記憶を辿る。
「あなたに…幸せにしてほしかった…もう、叶うことのない願いでも…私は…私は…今でも…」
その先の言葉は声にはしない。
それは麻耶への裏切りでしかないと分かっていたから。
美弥は、全ての言葉を飲み込んで、そっと部屋を後にした。
葉月への想いを胸に刻みながら、寝付けない夜を一人寂しく過ごす。
朝方近くになり、やっと眠りについた美弥は母様が起こしにきても気が付かず、お昼近くまで眠った。
起きてみれば、もうその時間には誰もいなくなっており、生まれ育った家だというのに急に淋しさを感じる。
ポツンと一人取り残されたような、そんな思いが心の中に広がっていった。
先ほど触れられた頬をそっと包み込めば、まだ葉月の温もりが残っていた。
自分で葉月と幸せになることを断ち切った美弥だったが、改めて口で言われ、もう、彼の手で幸せになることはないのだと改めて実感する。
一度は麻耶の為に諦めた気持ちが、たった一度の葉月の温もりだけで蘇ってきそうになる。
あの時の好きで好きでたまらなかった思いが美弥の心を覆いつくすかのように一瞬にして広がる。
まだ好きなんだと自覚しても、もうどうすることもできない。
今更の話だと分かっていても、ただ涙を流して泣く事しか今の美弥にはできなかった。
「葉月…」
あれ以来、触れていなかった葉月に触れてみる。
頬を撫でれば、眠っている葉月の体がピクリと少し動くのが分かる。
唇を指でなぞって、最後に口づけをしてらもった記憶を辿る。
「あなたに…幸せにしてほしかった…もう、叶うことのない願いでも…私は…私は…今でも…」
その先の言葉は声にはしない。
それは麻耶への裏切りでしかないと分かっていたから。
美弥は、全ての言葉を飲み込んで、そっと部屋を後にした。
葉月への想いを胸に刻みながら、寝付けない夜を一人寂しく過ごす。
朝方近くになり、やっと眠りについた美弥は母様が起こしにきても気が付かず、お昼近くまで眠った。
起きてみれば、もうその時間には誰もいなくなっており、生まれ育った家だというのに急に淋しさを感じる。
ポツンと一人取り残されたような、そんな思いが心の中に広がっていった。