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狂い咲く花
第19章 二、牡丹一華 - 希望
「カカ…エンエン?」
先ほどまで蟻の行列に夢中になっていた蘭子が、美弥が泣いていると思って足元にしがみついてくる。
「カカ。イイコ…ヨシヨシ」
いつも自分がされていることを美弥にする。
その行為がうれしくて、愛らしくて、2人は顔を見合わせて微笑み合った。
久しぶりに和やかな気持ちになり心豊かになる。
「姉さん?」
そんな和やかな雰囲気をかき消すように、低い声が美弥を呼ぶ。
振り向かなくてもそれが誰の声なのか予想が付いた。
先ほどまでの幸せな気持ちは一瞬に消えて、抱きしめられている状況に恥ずかしさと罪悪感が込み上げ、身動き取れなかった。
そんな美弥の腕を掴んで強引に引きはがす。
「何やってんだ?」
いつもより低く、機嫌が悪いのが分かるぐらい冷たい言葉だった。
その言葉に何も言えなく黙り込んでいると、彼が口を開いた。
「ご挨拶が遅れました。私は戸畑幸信と申します。あなたは弟さん?」
「…美…義理の弟です。おいで蘭子」
足元にいる蘭子を抱き上げて、不機嫌な顔を向ける。
彼・幸信は何かを察したのか葉月に向かって自分の思いを告げた。
「蘭子ちゃんのお父さん…私は以前、美弥さんとお見合いをさせていただきました。…美弥さんとはこれからの人生、ご縁があればと思っています。ゆっくりと未来に向かって歩んでいきたいと心から願っています」
「戸畑さん!!」
きっぱりと葉月に伝えると、葉月の顔が一層険しくなる。
美弥もいきなりの宣言に驚いて彼の名前を呼ぶ。
先ほどまで蟻の行列に夢中になっていた蘭子が、美弥が泣いていると思って足元にしがみついてくる。
「カカ。イイコ…ヨシヨシ」
いつも自分がされていることを美弥にする。
その行為がうれしくて、愛らしくて、2人は顔を見合わせて微笑み合った。
久しぶりに和やかな気持ちになり心豊かになる。
「姉さん?」
そんな和やかな雰囲気をかき消すように、低い声が美弥を呼ぶ。
振り向かなくてもそれが誰の声なのか予想が付いた。
先ほどまでの幸せな気持ちは一瞬に消えて、抱きしめられている状況に恥ずかしさと罪悪感が込み上げ、身動き取れなかった。
そんな美弥の腕を掴んで強引に引きはがす。
「何やってんだ?」
いつもより低く、機嫌が悪いのが分かるぐらい冷たい言葉だった。
その言葉に何も言えなく黙り込んでいると、彼が口を開いた。
「ご挨拶が遅れました。私は戸畑幸信と申します。あなたは弟さん?」
「…美…義理の弟です。おいで蘭子」
足元にいる蘭子を抱き上げて、不機嫌な顔を向ける。
彼・幸信は何かを察したのか葉月に向かって自分の思いを告げた。
「蘭子ちゃんのお父さん…私は以前、美弥さんとお見合いをさせていただきました。…美弥さんとはこれからの人生、ご縁があればと思っています。ゆっくりと未来に向かって歩んでいきたいと心から願っています」
「戸畑さん!!」
きっぱりと葉月に伝えると、葉月の顔が一層険しくなる。
美弥もいきなりの宣言に驚いて彼の名前を呼ぶ。