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狂い咲く花
第19章 二、牡丹一華 - 希望
「幸信と呼んでください。先程も言いましたけど、ゆっくりでいいんです。焦らずに進みませんか?返事はすぐにとは言いません。ゆっくり考えてください。待つのは得意ですから」
彼が真っ直ぐに美弥の瞳を見て告げる。
その言葉の重みが美弥の心の中に落ちてくる。
「あっ…あの…」
「行くぞっ」
何かを言おうと口を開きかけた時、葉月に手を引かれ無理やりその場から連れていかれた。
その力強さに逆らえないと思った美弥は幸信に軽く会釈してその場を後にした。
葉月に連れていかれるのは葉月の家ではなく美弥の家の方角だった。
蘭子と歩いてきた道をまた戻っていた。
「葉月…手を離して…」
何度、手を離すように言っても繋がれた手が離されることはなかった。
家に近づくと、横道に逸れ人が通らない場所に連れて行かれ鋭い目で睨まれる。
「見合いの話、進めるのか?」
葉月が怒っている理由が分からなかった。
「美弥っ!」
名前を強く呼ばれる。
久しぶりに名前を呼ばれて心が痛む。
「何とか言えよ」
「離して…葉月には…関係ない」
いつもと違う葉月に驚いて、それだけを言うのが精一杯だった。
「…そうかもしれないけど…俺はお前が心配なんだよ」
悲しそうな瞳が美弥を見つめる。
彼が真っ直ぐに美弥の瞳を見て告げる。
その言葉の重みが美弥の心の中に落ちてくる。
「あっ…あの…」
「行くぞっ」
何かを言おうと口を開きかけた時、葉月に手を引かれ無理やりその場から連れていかれた。
その力強さに逆らえないと思った美弥は幸信に軽く会釈してその場を後にした。
葉月に連れていかれるのは葉月の家ではなく美弥の家の方角だった。
蘭子と歩いてきた道をまた戻っていた。
「葉月…手を離して…」
何度、手を離すように言っても繋がれた手が離されることはなかった。
家に近づくと、横道に逸れ人が通らない場所に連れて行かれ鋭い目で睨まれる。
「見合いの話、進めるのか?」
葉月が怒っている理由が分からなかった。
「美弥っ!」
名前を強く呼ばれる。
久しぶりに名前を呼ばれて心が痛む。
「何とか言えよ」
「離して…葉月には…関係ない」
いつもと違う葉月に驚いて、それだけを言うのが精一杯だった。
「…そうかもしれないけど…俺はお前が心配なんだよ」
悲しそうな瞳が美弥を見つめる。