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狂い咲く花
第20章 二、木瓜 - 平凡





───…





「ねぇ、葉月。2人でおでかけはいつぶりかな?」

寄り添うようにして歩き、久しぶりの2人だけの時間に甘える。
いつも必死に蘭子の面倒と家事をこなす麻耶を思い、今日はいつも以上に優しく接する。

「そうだね…蘭子が産まれてからはないんじゃないの?」

蘭子が産まれてからと口にしたものの、一度たりとも2人で出かけたことがないことに気が付いた。

「そっかぁ…いつも蘭子がいるものね……ダメ?」

葉月の手をつなぎながら遠慮がちに聞いてくる。
その目が以前の幼い姿と重なって昔みたいに返事をしてしまう。

「麻耶はいくつになっても甘えたがりだね」

ぎゅっと握り返せば、嬉しそうに笑う麻耶に昔に戻った気持ちになる。
まだ何も知らないただの妹として見ていた頃に。

「ひど~い。これでも麻耶は母親なんだよ?大人でしょ?」

「そうだね。あの麻耶が母親だからね…最近はしっかりと子育てしているし…麻耶はえらいよ」

褒められてうれしくなる。

「えへっ。褒められた…もっと頑張るね。だから…もっと褒めて?」

握っている手を離して腕にしがみつく。

「はいはい。麻耶が好きな物、なんでも買ってあげるよ。頑張っているご褒美にね」

「やったぁ~。だから葉月の事大好きっ」
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