この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
狂い咲く花
第20章 二、木瓜 - 平凡
───…
「ねぇ、葉月。2人でおでかけはいつぶりかな?」
寄り添うようにして歩き、久しぶりの2人だけの時間に甘える。
いつも必死に蘭子の面倒と家事をこなす麻耶を思い、今日はいつも以上に優しく接する。
「そうだね…蘭子が産まれてからはないんじゃないの?」
蘭子が産まれてからと口にしたものの、一度たりとも2人で出かけたことがないことに気が付いた。
「そっかぁ…いつも蘭子がいるものね……ダメ?」
葉月の手をつなぎながら遠慮がちに聞いてくる。
その目が以前の幼い姿と重なって昔みたいに返事をしてしまう。
「麻耶はいくつになっても甘えたがりだね」
ぎゅっと握り返せば、嬉しそうに笑う麻耶に昔に戻った気持ちになる。
まだ何も知らないただの妹として見ていた頃に。
「ひど~い。これでも麻耶は母親なんだよ?大人でしょ?」
「そうだね。あの麻耶が母親だからね…最近はしっかりと子育てしているし…麻耶はえらいよ」
褒められてうれしくなる。
「えへっ。褒められた…もっと頑張るね。だから…もっと褒めて?」
握っている手を離して腕にしがみつく。
「はいはい。麻耶が好きな物、なんでも買ってあげるよ。頑張っているご褒美にね」
「やったぁ~。だから葉月の事大好きっ」