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狂い咲く花
第21章 二、杜鵑草 - 秘めた思い

「どうしたのさ。葉月?美弥を取られそうで焼いてる?」

クスッと笑いながら意地悪に聞く。
その言葉を聞いた途端に葉月の顔色が明らかに変わったのが分かる。

「僕も嫉妬しちゃうよ」

葉月が声を上げる前に南和がおどけて告げる。

「僕も葉月も美弥の事大好きだからね、そうでしょ?葉月」

「…まぁ…」

戸惑いを感じながらも南和の会話に返事をする。

「特に、葉月は美弥と仲が良かったからね。」

「…」

終始、笑顔を絶やすことのない南和に美弥は怖いと心の中で思う。
笑顔の裏に言い知れぬ何かがありそうで、今までの南和ではないような気がしてならなかった。

「え~~!麻耶も姉様好きよ」

2人のやり取りに自分も入りたい麻耶は美弥に抱き付いて好きだと告げる。

「そうだね。だけど、麻耶は美弥より葉月が好きでしょ?2人は愛しあっているんだから。そうだよね。葉月」

南和の言葉に、今度は美弥の顔が強張る。

「え~…南和、それ行っちゃ駄目だって!愛してるって言うと葉月恥ずかしがっちゃうんだから…だから2人だけの秘密なんだよ」

麻耶は、南和の意図を組んだわけでもなく、欲しい言葉を並べた。
その言葉に少し怒りさえ覚えたが、今はそれどころではないと思っていた。
2人の本当の気持ち。
どこか腑に落ちなかった、2人の破局と2人の結婚。
それが分かりかけていた。
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