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狂い咲く花
第22章 二、金盞花 - 寂しさ

「麻耶…葉月の事求めた?また中途半端なことされた?」

確信がないことを聞きながら、そう思うだけで怒りが込み上げてきそうになるのを堪えて、静かな声で優しく聞いた。
その言葉が意外な物だったようで、麻耶が不思議な顔をしたので、少し安心する。
それでも、満足できない理由が分からない南和はイラつき始めていた。

「葉月は、麻耶に指一本触れてくれないよ?愛し合ってるのに何で指一本触れてくれないんだろう…。でもね。麻耶は葉月を求めていないよ。南和との約束だもんね。」

「…そうだね。約束だからね…」

麻耶の一言が南和の心に暗い影を落とす。
いまだに心は葉月を求めているのだと残酷にも告げられる形となってしまった一言だった。
どんなに全てを捧げても麻耶の全てが自分に向かない歯がゆさに、南和の心は暗い渦の中に落ちて行こうとする。

「麻耶は葉月とどうなりたいの?」

黒闇の中で、少しの光を求めて自分が救われる言葉を待つが、思い通りの言葉は返ってこない。

「麻耶はねぇ~…今のままでいいの。3人一緒にいられれば幸せだもん」

それどころか、その幸せの中に自分はいないのだと思うと怒りより虚しさが込み上げてきた。

「だったら、僕は??僕は麻耶の何?」

「南和…?麻耶の…」

そこで言葉を切り考え込んでしまう麻耶を見て、南和は目を伏せた。
次に続く言葉を聞く覚悟のために。
それはきっと自分が欲しい言葉ではないと思ってしまったから。

「麻耶の…心を満たしてくれる人」

「満たす??」
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