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狂い咲く花
第24章 二、花浜匙 - 変わらぬ心
その顔が辛そうで、泣いている様に見えた。
こんなに弱っている葉月を初めて見た気がした美弥は、抱きしめてあげたくなり手を伸ばしかけ躊躇する。
宙に浮いた手を戻すこともできずに、しばし時が止まる。
その時を動かしたのは葉月だった。
宙に浮いた手を取り、自分の方に引き寄せ抱きしめた。
美弥は一瞬の事で何が起こったのか理解できず、葉月は腕の中に納まった美弥の肩に頭を埋めて温もりを噛みしめる。
「ごめん…このままでいて…」
声は震え今にも泣き出してしまいそうな声音に、自然と手が葉月の頭を抱き込んで優しく撫でる。
その優しさが葉月の心を揺れ動かす。
南和に全てを吐き出したことで、葉月の心の均衡は崩れかけていた。
「美弥…」
久しぶりに美弥の名前を口にする。
美弥もまた、抱きしめられ名前を呼ばれて気持ちがぐらつき始める。
「どうしたの?葉月」
名前を呼ばれ昔を思い出し、美弥も昔と変わらず葉月の名前を呼ぶ。
お互いが名前で呼べば、一瞬にして懐かしい時間が蘇り、何も知らずただ幸せだった時に逆戻りする。
ただ幸せな未来を夢見ていた時間。
戻れるならば戻りたいと同じことを思う。
少し時間を置き、葉月が美弥から離れて目線が絡み合い、葉月の手が美弥の頬を愛おしそうに撫でる。
その温もりが美弥の気持ちを幸信ではなく葉月に向けさせる。
「美弥…」
葉月が美弥の名前を呼んだ。
「葉月…」
美弥が葉月の名前を呼んだ。
奥深くに沈めていた想いが顔をのぞかせ、やはり今でも好きなのだと自覚した2人は、惹きつけられるように、ゆっくりと唇を重ねた。
こんなに弱っている葉月を初めて見た気がした美弥は、抱きしめてあげたくなり手を伸ばしかけ躊躇する。
宙に浮いた手を戻すこともできずに、しばし時が止まる。
その時を動かしたのは葉月だった。
宙に浮いた手を取り、自分の方に引き寄せ抱きしめた。
美弥は一瞬の事で何が起こったのか理解できず、葉月は腕の中に納まった美弥の肩に頭を埋めて温もりを噛みしめる。
「ごめん…このままでいて…」
声は震え今にも泣き出してしまいそうな声音に、自然と手が葉月の頭を抱き込んで優しく撫でる。
その優しさが葉月の心を揺れ動かす。
南和に全てを吐き出したことで、葉月の心の均衡は崩れかけていた。
「美弥…」
久しぶりに美弥の名前を口にする。
美弥もまた、抱きしめられ名前を呼ばれて気持ちがぐらつき始める。
「どうしたの?葉月」
名前を呼ばれ昔を思い出し、美弥も昔と変わらず葉月の名前を呼ぶ。
お互いが名前で呼べば、一瞬にして懐かしい時間が蘇り、何も知らずただ幸せだった時に逆戻りする。
ただ幸せな未来を夢見ていた時間。
戻れるならば戻りたいと同じことを思う。
少し時間を置き、葉月が美弥から離れて目線が絡み合い、葉月の手が美弥の頬を愛おしそうに撫でる。
その温もりが美弥の気持ちを幸信ではなく葉月に向けさせる。
「美弥…」
葉月が美弥の名前を呼んだ。
「葉月…」
美弥が葉月の名前を呼んだ。
奥深くに沈めていた想いが顔をのぞかせ、やはり今でも好きなのだと自覚した2人は、惹きつけられるように、ゆっくりと唇を重ねた。