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狂い咲く花
第24章 二、花浜匙 - 変わらぬ心
───…
麻耶は握っている南和の手をギュッと握った。
「行こう…」
麻耶に声を掛けるが、麻耶は唇を噛んで首を横に振る。
葉月を迎えに行くと言った時に無理にでも止めればよかったと、そうすればこんな場面を見せずにすんだのにと後悔した。
「なんで…?」
握りしめた手に力を込め、目には涙をためて口にする。
「ねぇ…なんで?」
その涙が頬をつたって流れた。
寂しそうな表情を見て南和の心が熱くなる。
「どうして…麻耶のこと抱きしめてくれないのに姉様は抱きしめるの?口づけするの?」
目の前で起こっていることが信じられず、自分が欲しい物を簡単に手に入れる美弥に嫉妬すする。
「ねぇ、どうして?どうして麻耶じゃなくて姉様なの?どうして」
徐々に声が大きくなる麻耶の口を、南和は自分の口で塞いだ。
握られている手を離し、両手で頭を押さえ何も考えられないように、今までで一番激しく口づけをし意識を南和の方に向けさせる。
麻耶は涙を流しながらも、何かに縋るかのように南和の舌に自分の舌を絡ませた。
少し落ち着いたのを確認してから唇を離し、南和の胸に顔を押し付けて抱きしめる。
「とりあえず、行こう…蘭子が起きちゃうから」
麻耶の手を引きながらその場を後にする。
何度も何度も後ろを振り返りながら、抱きしめあう2人を見続けた。