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狂い咲く花
第25章 二、葡萄 - 宵と狂気
濡れた服を拭きながら、幸信は美弥を背中から抱きしめる。
「…愛しています」
その言葉を聞いても広がるのは罪悪感ばかり。
時間をかけて美弥の心を解きほぐし、無理強いすることなく待ち続けてくれた幸信を裏切るようなことをしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
そんなやさしい幸信だからこそ、このまま彼の優しさに甘えては駄目だと美弥は思う。
「…ごめんなさい…」
抱きしめられていた手に力が籠る。
「もう…幸信さんとは…おつきあいできません」
多くは語らず、素直な気持ちを口にする。
やさしい彼ならば聞き入れてくれるだろうと甘く考えていた。
「嫌だと言ったら?」
「…ごめんなさい…」
謝るだけしかできなかった。
耳元でフッと笑って、息を吹きかけながらしゃべりかけてくる。
「冗談ですよ…私は美弥の嫌がることは何一つする気はありませんから、安心してください」
その優しい言葉に美弥はほっとし、分かってくれたのだと思った。
「最後に、しばらくこうしていてもいいですか?」
自分がしてしまったことを思うと、その最後の望みだけでも聞き入れてやりたいと思い、頷いた。
幸信は美弥の肩に頭を預けて最後の余韻にひたる…
「…愛しています」
その言葉を聞いても広がるのは罪悪感ばかり。
時間をかけて美弥の心を解きほぐし、無理強いすることなく待ち続けてくれた幸信を裏切るようなことをしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
そんなやさしい幸信だからこそ、このまま彼の優しさに甘えては駄目だと美弥は思う。
「…ごめんなさい…」
抱きしめられていた手に力が籠る。
「もう…幸信さんとは…おつきあいできません」
多くは語らず、素直な気持ちを口にする。
やさしい彼ならば聞き入れてくれるだろうと甘く考えていた。
「嫌だと言ったら?」
「…ごめんなさい…」
謝るだけしかできなかった。
耳元でフッと笑って、息を吹きかけながらしゃべりかけてくる。
「冗談ですよ…私は美弥の嫌がることは何一つする気はありませんから、安心してください」
その優しい言葉に美弥はほっとし、分かってくれたのだと思った。
「最後に、しばらくこうしていてもいいですか?」
自分がしてしまったことを思うと、その最後の望みだけでも聞き入れてやりたいと思い、頷いた。
幸信は美弥の肩に頭を預けて最後の余韻にひたる…