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狂い咲く花
第25章 二、葡萄 - 宵と狂気
押し入ってこようとする幸信から逃げるかのように身じろぎする。
手を縛られて、片足を抑えられていれば思うように逃げられない。
それでも暴れる美弥の中に簡単には入れず、押さえていた手を離して両足を抱え込む。

「一気にいきますからね…痛いのは最初だけ…」

「イヤァァァァ――――…誰か助けて…葉月…葉月…葉月――――」

ありったけの大声で何度も何度も葉月の名前を呼んだ。
助けにきてくれるはずがないと分かっていても呼ばずにはいられなかった。

――――パシッ

――――パシッ


「うるさい…少しは黙りなさい。」

2度平手打ちをされ、強い口調で怒鳴られ、余りの怖さに逆らうことができなくなった。
ただただ、早く時間が過ぎ去っていくことを祈ることだけしかできない。
大人しくなった美弥を見て幸信は悲しい顔をする。

「初めから言うこと聞いてくれていたら痛い思いしなかったのに…本当は痛い目にはあわせたなくないんです。だから静かにしていてくださいね。」

静かに告げて、また中に入ろうと力を入れた。
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