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狂い咲く花
第4章 一、雛菊 - 希望
───…
「姉様まだ帰ってこないの?今日も帰ってこないのかな?」
ここ数日、ずっと一人で遊んでいた麻耶は暇を持て余していた。
こんなに長いこと離れ離れになったことがなく、早く美弥に会いたくて仕方がなかった。
「一週間ぐらいって言ってたから、今日か明日には帰ってくるんじゃないかしら?」
足をバタバタとして落ち着きがまったくない麻耶を夕餉の支度をしながら母様が相手をしていた。
「今日、帰ってくる??お迎えに行く!」
「もう暗くなるから外は駄目よ。」
「大丈夫!いつもの柵からでないから。…母様だめ?」
美弥に会いたくて仕方がない麻耶の様子に『しょうがないわね』と諦める。
「柵から出たら駄目よ。お夕食の準備できたら呼びに行くからそれまでね」
「は~い」
元気に返事をしてドタバタと外に走り出してしまった。
母様は「しょうがない子ね」と微笑み夕食の支度を急いだ。