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狂い咲く花
第26章 二、昇り藤 - あなたは私の安らぎ
その夜、2人は別々の部屋にいた。
さすがに昨日より落ち着いた美弥と同じ部屋で寝せるわけにはいかないと思った父様が、直ぐにかけつけられる隣の部屋を葉月に用意する。
夜になり降り出した雨の音だけが響き始めた頃、美弥は葉月の部屋を訪れた。

「葉月、起きてる?」

横になっていた身体を起こし襖を開けた。

「眠れない?」

「うん…寝すぎちゃったかも」

昼間ずっと寝ていた2人は共に寝付けずにいた。

「俺も…とりあえず、入って。今明かり付けるから」

中に入るように促し襖を閉めた。
部屋の明かりをつけ、お互いに距離を保ち座った。
改まって2人になると何を話して良いのか分からなかった。
昨日の事は話したくない、話してはいけないとお互いに気を遣う。

「美弥…あと少しだけ待っていて…必ず迎えに行くから…麻耶ときちんと話をして迎えにいくから」

「待っていていいの??…他の人に…抱かれようとした私が…」

俯きながら小さな声だった。

「馬鹿だなぁ…俺が欲しいのは美弥の心であって、身体だけじゃないんだ。」

「でもっ…」

顔を上げて縋るような目を向けてくる。

「酷いやつだったかもしれない。けど、愛せると思ったんだろう?だから、身体も繋がっても良いと」

小さく頷く。

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