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狂い咲く花
第26章 二、昇り藤 - あなたは私の安らぎ
「だったら、それでいい。好きな人と身体を重ねたいと思うことは自然なことだと思うよ。それだけ相手を真剣に思っていたってことだから。…だから俺も…昔から美弥だけと重なり合いたいと思っていた。麻耶じゃなくてお前と…」

「えっ…」

葉月は今ここで、全てを話そうと思った。
全てを受け入れてほしいと。

「俺は…一度だけ麻耶を抱いた…。お前と思って…酔っぱらった俺は麻耶を抱いた」

その言葉に美弥の顔が険しくなった。

「俺の方が最低だろう?あいつを罵る権利なんてないんだ、本当は…」

消え入りそうな声だった。
何も言わない美弥が、どう思っているのか気になりながら全て話していく。
どうていいいか分からずに相良家に足を向けられなかったこと。
病に臥せっている時に美弥と話したときの心苦しさ。
夜遅くに自分を頼ってきた麻耶を見て心を決めたことを。
そして…

「それでも、俺の心の中にはずっと美弥がいた。消そうと思っても消えなかった。だけど…麻耶のお腹の中には俺の子供がいて見捨てることもできなかった」

いつの間にか葉月の頬には涙が流れていた。

「もういいから…葉月の気持ち分かったから」

涙を流しながら全てを話す葉月の言葉を止めようとする。

「美弥、聞いて。…どうすることもできない俺は全てを封印した…お前に愛してると言えないなら、口づけをして身体を重ねることができないのなら、誰ともそういうことをしないと…だから、麻耶とも一度きりで、何もしてないんだ…」
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