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狂い咲く花
第27章 三、彼岸花 - 悲しき思い出
「…15年程前の話ですよ…私が13歳にもならない子供だった時のことです。」

そう言って、自分の過去を話し始める。





───…





…私はある女性に恋をしていました。
あなたのように笑顔が素敵でみんなから愛されるそんな人でした。
彼女は兄の恋人であり、私たち3人は幼馴染だったんです。
私は、兄と彼女は結婚するとばかり思い、彼女に対する恋心を表に出すことはせずに、2人の行く末を見守っていました。
2つ上の兄が15歳の時に、兄のお見合いの話が浮上しました。

『これは形式だけの見合いだから、気にしないように』

そう彼女に言ってお見合いがされました。
しかし、家同士のつながりを大事にする私の家では、その結婚は決まった事柄だったのです。
両親にどんなに抗議しても、その想いが届くはずありません。
だんだんと親子の関係が険悪になり、兄が家を出ようかと悩み始めたころに、彼女は兄に言いました。

『もう、私のことは忘れてください。そこまでして…私はあなたの妻になる気はないのですから』

その言葉が嘘だと私も兄も分かりました。
人のために自分の想いを隠してしまう、そんな優しい人でしたから。
ですから私も覚悟を決めたのです。
内に秘めた思いごと、受け止めてあげたいと
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