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狂い咲く花
第27章 三、彼岸花 - 悲しき思い出





───…





「寂しくはなかったのですか?」

話の腰を折り、美弥は聞く。

「そうですね…悲しいと言うより、兄に会えることで彼女の心が少しでもほぐされるのならと、そちらの方が強かった」

「あなたもまた、心を隠していた…」

美弥の言葉に幸信は笑って頭を横に振る。

「いいえ。隠すというより、自分の心さえ分かってはいなかった…。この前…あなたに酷いことをしている時のことは覚えています。自分が何を口走ったのかも…その時に、今更ですが漸く気がついたんです。本当は兄より私を愛してほしかったのだと。兄を思う気持ちごと受け止めると言いながら私は嫉妬していたんですよ。それを知らず知らずのうちに内に閉じ込めて今まできたのだと思います。ですから、あなたが私を求めながらも、葉月さんと抱き合い口づけを交わしたと聞いて…当時の事が蘇ってきたんです。手が届きそうで届かなかった彼女のことを。助けられなかった私の弱さを…そして、そのどうしようもない思いが…あなたに向いた…彼女に伝えられなかった言葉を、最悪な形であなたに告げた…」

幸信は、しっかりと美弥の瞳を見つめた。

「謝って済む問題ではないことは分かっています。許してもえるとも思っていません。だけど…謝りたかった…本当に申し訳なかった」

深々と頭を下げる。
いつの間にか、美弥の心の中から嫌悪感や憎悪感は薄れていっていた。
幸信の想いは自分と同じだと思うと、彼の心が理解できた。

「よければ…先をお聞きできますか?」

許す言葉を告げず、先を促す。
もしかしたら、同じ道を進むかもしれないとおもった美弥はこの3名が進んだ道を知りたいと思った。

「それが、美弥の望みであれば。…2人が会っていたところまで話しましたね」
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