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狂い咲く花
第27章 三、彼岸花 - 悲しき思い出
「彼女の後を追いますか?」

「追えるものなら追いたい…ずっとそう思って生きてきましたから」

「彼女は幸信さんに何度も幸せになって欲しいと言っていましたよね。だったら死を選ぶべきではないと、私は思います。」

美弥はなぜか死を選んでほしくないと思った。
生きて幸せになってほしいと…

「それは…死にゆく人の傲慢です。残された者の苦しみや狂いながら生きる辛さを考えない…普通に幸せになれるほど、そんな生半可な愛情を持ち合わせていないのです。私を見れば分かるでしょう?」

にっこりと微笑む顔が、何もかも諦めて覚悟しているのだと分かる。

「もし、相手に幸せになって欲しいのなら、死を選ばずに手を取るべきです。そうしないのであれば共に逝くのも幸せだと理解してほしい…今日は美弥と話せてよかったです…」

強制的に話を切られた美弥は不安だけが募っていく。
その優しい笑顔の裏の悲しみが心から払拭されなかった。
もう二度と会うことはないかもしれないと心の中で思う。
そして、それを止める言葉を持ち合わせてないことに気づかされる。

「最後にひとつだけ…お兄さんは立派に家をついでいますよね…」

愛する人の死をどう受け止めているのか美弥は気になった。
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