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狂い咲く花
第28章 三、クロッカス - 愛をもう一度(紫)
葉月は触れるだけの口づけをする。
「そうだね。彼のおかげで気持ちを言葉にできた…。葉月…愛してる」
美弥は自分から葉月の首にまわして口づけをする。
最上の想いを乗せて、甘く深い口づけを…
その想いを葉月も受け止め、優しい口づけを返す。
月明かりに照らされる2人の姿が浮かびあがる。
唇を離し、お互いの顔を見れば蒸気した艶のある表情がお互いの気持ちを刺激する。
このまま交わりたいと願う。
葉月は美弥の肩に顔を埋めて、カリッと肩を甘噛みする。
「アッ…」
甘い声が美弥の口から零れる。
嫌悪感からの声ではないと認識した葉月は首筋に舌を這わせた。
何度も往復させ、耳朶を唇で挟み舌先で舐めまわす。
その行為が美弥の身体を小刻みに振るわせた。
「怖い?」
「…大丈夫…葉月は怖くない…」
美弥の言葉を聞いて葉月はほっとする。
あの忌まわしい出来事から美弥の心を思い口づけまでしかしてはこなかった。
触られるのが怖いかもしれないと。
しかし、理由はどうあれ拒まれたらどうしようと思う気持ちもあった。
だから、『怖くない』と言う言葉が葉月にはうれしかった。
「俺を感じて…」
その言葉と掛かる吐息が美弥を甘い世界に引きずり込んでいく。
「私も…葉月を感じたい…」