この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
狂い咲く花
第28章 三、クロッカス - 愛をもう一度(紫)
「美弥…起きてる?」
麻耶の寝顔を見ていると、窓の外から葉月の声が聞こえた。
麻耶が起きないように慌てて窓を開けると、約束通りに葉月は仕事に行く前に顔を出す。
「し───」
口に人差し指を当てる。
「昨日あの後、麻耶が蘭子連れて葉月を探しにきたの。実家に戻ったって言ったら泊って行くって…」
その言葉に葉月は部屋の中を覗く。
その2人の姿を確認して美弥に耳打ちした。
「玄関開けて。そっちに回るから」
美弥の顔をひと撫でして葉月は玄関にむかった。
玄関に回ると、ちょうど美弥がカギを開けたばかりだった。
中に入った葉月は美弥を抱きしめ口づけをする。
「早く来て時間が許す限り美弥を抱きしめていたいと思ったのに…まさか麻耶がいるなんて。…抱きしめても抱きしめても美弥が足りない…」
本来ならば、その言葉がうれしくて抱きしめているはずの美弥の腕が葉月に回ることはなかった。
その想いの温度差に葉月は戸惑う。
「美弥は…そんな風に思わない?」
美弥は黙って頭を横に振る。
「麻耶の事を思うと…」
麻耶が泊ったことと何か関係があると思った葉月は美弥から身体を離し覗き込んだ。
「少し話そうか…離れだと見つかりそうだから…物置でいいかな?」
そっと美弥の肩を抱いて外に連れ出した。
麻耶の寝顔を見ていると、窓の外から葉月の声が聞こえた。
麻耶が起きないように慌てて窓を開けると、約束通りに葉月は仕事に行く前に顔を出す。
「し───」
口に人差し指を当てる。
「昨日あの後、麻耶が蘭子連れて葉月を探しにきたの。実家に戻ったって言ったら泊って行くって…」
その言葉に葉月は部屋の中を覗く。
その2人の姿を確認して美弥に耳打ちした。
「玄関開けて。そっちに回るから」
美弥の顔をひと撫でして葉月は玄関にむかった。
玄関に回ると、ちょうど美弥がカギを開けたばかりだった。
中に入った葉月は美弥を抱きしめ口づけをする。
「早く来て時間が許す限り美弥を抱きしめていたいと思ったのに…まさか麻耶がいるなんて。…抱きしめても抱きしめても美弥が足りない…」
本来ならば、その言葉がうれしくて抱きしめているはずの美弥の腕が葉月に回ることはなかった。
その想いの温度差に葉月は戸惑う。
「美弥は…そんな風に思わない?」
美弥は黙って頭を横に振る。
「麻耶の事を思うと…」
麻耶が泊ったことと何か関係があると思った葉月は美弥から身体を離し覗き込んだ。
「少し話そうか…離れだと見つかりそうだから…物置でいいかな?」
そっと美弥の肩を抱いて外に連れ出した。