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狂い咲く花
第29章 三、水仙 - 自己愛
寝起きの行動と違う麻耶に疑問を持つ。
いつもだったら、この状態からまた眠りにつくはずだった。

「どうかした?」

背中を擦りながら優しく聞くと、麻耶の抱きしめる腕に力が入った。

「朝…葉月が姉様に会いにきた…2人でどこかに消えていったの…麻耶と蘭子がここにいるのに…」

葉月が訪れた時、麻耶は起きていた。
自分を迎えに来てくれたと眠ったふりをしていた麻耶の心は簡単に裏切られ、2人はその部屋からでていってしまった。
玄関先で話していたのは気配で感じていたが、その後、どこに消えてしまったのか麻耶には分からなかった。
後を追って行きたくとも、何かを見てしまうのが怖くて動けないでいた。
そして美弥が戻ってきたのはそれから1時間後。
その一時間で何をしていたのかと思うと麻耶は平常ではいれらない。
怒り苦しむ思いをただ内に秘めて耐えるしか他はなかった。
そこに全てを知る南和が現れたのだから縋り付くしかない。

「ねぇ。南和。麻耶を裏切る姉様が悪いんだよね。麻耶は何も悪くないよね?」

「美弥…?葉月じゃなくて?」

嫉妬の行き先が美弥に向いていることに気が付いた。

「だって…姉様…麻耶よりも葉月を選ぶの。葉月も麻耶より姉様を選ぶの…一番は麻耶なのに」

麻耶は自分が一番ではないことが許せずにいた。
その言葉の中にある本当の気持ちを麻耶自身気が付いていなかった。
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