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狂い咲く花
第29章 三、水仙 - 自己愛
「僕は麻耶が一番だよ…」

「うん…麻耶も南和が一番だよ…だから。麻耶のお願い聞いて?」

「もちろんだよ。何してほしい?」

麻耶は抱き付いている腕を解いて、真剣に南和の顔を見つめる。
そして自分から顔を寄せて口づけをした。
触れるだけの口づけではなく甘く深く、そして全てを奪うかのような熱い口づけだった。
それに答えるかのように南和も受け止める。
舌の絡み合う音が厭らしくも2人を包む。
2人だけの世界の中で麻耶は南和を虜にしていく。

「南和…」

唇を離し、唇が触れるか触れないかの距離で止まる。
激しい口づけの余韻でうっとりとする南和とは違って麻耶の瞳ははっきりと澄んでいた。

「ぐちゃぐちゃにして…」

「ぐちゃぐちゃ?」

南和はただオウム返しをする。

「そうだよ。麻耶を裏切った姉様が悪いの…だから、ぐちゃぐちゃに壊して」

その言葉と真剣な眼差しで、南和の頭の中が冷静になり麻耶は本気なんだと知る。
澄んだ奥に見える嫉妬の瞳に吸い込まれるように南和は全てを受け止めた。

「いいよ。麻耶がそう願うのなら僕が叶えてあげる」

「だから麻耶は南和の事が大好き」

再度唇を重ね合わせていく。
何度も何度も角度を変えて身体も心をも重ね合う。
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