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狂い咲く花
第29章 三、水仙 - 自己愛

力の限り抱きしめ、欲望を吐き出すかのように懸命に腰を振る。
余裕のない動きに麻耶の身体も悲鳴を上げ始めた。

「ンアアアッ……南和…イクッ」

「俺も…イッ…クッ」

身体をビクンッと震わせて絶頂を迎えた。
それと同時に南和は麻耶の中から抜け出して白濁を空に吐き出した。
少し自分自身で扱きながら全てを出し尽くす。
お互いに荒い息をしながら時が止まったかのように動けずにいた。

「…麻耶…」

少し息が整ったところで麻耶の名前を呼ぶ。
麻耶は気だるそうに南和を見上げた。

「いいよ…少し眠ろう…抱きしめて眠ってあげるね」

麻耶の身体にかかっている白濁を軽く拭き取り、腕枕をすると麻耶の方から擦り寄ってくる。
脱ぎ散らかした着物を上から掛けて裸のまま抱きしめた。
いつものように背中を軽く叩けば、簡単に夢の中に堕ちていく。
そして規則正しい寝息が聞こえ始めた。
その顔を覗き込めば、いつものあどけない幼い麻耶がいた。

「麻耶の事は僕が守るから…今はつらいかもしれないけど…葉月より…美弥より、僕の傍の方が麻耶は幸せになれるから。今は耐えて…」

麻耶に届かないと分かりながらも想いを告げた。
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