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狂い咲く花
第30章 三、莢蒾 - 無視したら私は死にます
クスクスと意地悪な笑みを浮かべながら泰邦に話を向け、泰邦も宝賀と同じ笑い方をしながらしゃがみこんだ。

「宝賀さんは上手いから安心して任せたらいいよ。俺は見学させてもらうとするさ。」

私から俺に変わっていることに美弥は気が付いた。
そして部屋の中に入っていく後ろ姿を見て愕然とした。

「足…」

ここに来るまで引きずっていた足は、普通に機能していた。

「この足?ごめんねぇ~。こうでもしないと案内してくれなかたよね」

悪びれもせずに、にっこりと笑う泰邦を見てぞっとした。
嘘までついて、ここに連れてきた意味を考えても分からなかった。
だけど嫌な予感しかしない。

「泰邦の事は気にしないでください。まずは私と…楽しみましょう」

優しい口調とは違う眼差しに美弥は恐れをなした。
無言で宝賀の胸を押し退けようとしてもビクともしなかった。
それでもなんとかこの状況から脱しようと懸命に動く。

「おやおや…そんなか細い腕で何ができるんですか?私も痛がることはしたくないんですから大人しくしてください」

抗う美弥を楽しみながら告げる。

「離してください…」

「離しませんよ…美弥を抱くまでは…そろそろ諦めて。ねっ」

優しく微笑まれても美弥の心から嫌な予感が払拭することはなかった。
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