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狂い咲く花
第5章 一、百合 - 無垢
───…
「ねぇ。南和?唇と唇を合わせるとどうなるの?」
釣りを続けている南和に麻耶は聞く。
以前、美弥と葉月が口づけをしているのを見てしまってからそれが何なのか気になっていた。
「どうって…麻耶はやってみたい?」
何も知らないと思っていた麻耶からの質問にドキリとしながら平静を装って聞いた。
「うん。やってみたい」
躊躇なく答える麻耶を見て、南和はごくりと喉を鳴らした。
「麻耶が言うのなら教えてあげるよ。だけどここでは無理だから、あっちへ行こう」
麻耶の手を引いて美弥たちから見えないように林の中に入ろうとした。
「遠くにいかないでね」
遠くから美弥の声が聞こえた。
「分かった」
それだけ告げると、麻耶の手を引いて奥へと入っていた。
青々と茂った葉で薄暗くなっている場所まで行くと麻耶を木に寄りかからせる。
「目をつむってごらん」
何も知らない麻耶は南和の言うままに目を閉じ、これから起こる事にわくわくする。
初めての口づけに緊張する南和はゴクリと唾を飲み込み、ゆっくりと唇を押し付けた。
柔らかい感触が自分の唇に当たりドキリとする。
一旦唇を離し聞いた。
「どう?」
「よくわかんない」
ただの触れ合うだけの口づけで何も感じなかった。